過食・拒食の家族療法

内容紹介

推測「子どもがやせ衰えていく」「娘がかくれて盗み食いを」「食べだしたら自分でも止められない」。過食症拒食症を抱える本人とその家族の悩みは深い。一見簡単にコントロールできそうなこの問題は、実は本人の生きづらさ自分さがしという心の深層に根を張る、成長の節目に待ち受ける落とし穴。本人と家族がともにその節目を乗りこえ、新しい自分になって歩き出すために、本人と家族のもつ力を信じ、支える家族療法を紹介した本である。

著者からのメッセージ:書き終わって感じたこと

「なんと多くの人たちが過食拒食で苦しんでいるんだろ。暗いトンネルから抜け出るきっかけをこの本でつかんでほしい」。そのヒントは症例のなかで何度もでてきますが、みなさんのふだんの生活のなかにいくつも転がっています。それに気づくか気づかないか。過食・拒食にかかる人は個性の強い人。それでいて人一倍の気づかいじょうず。「言いたいこと言えず、腹ふくるるわざなり」と、昔のえらい人が言ってましたね。まさにそのとおり。本書にでてくる人たちのように一度日記をつけてみてください。きっといくつかのヒントに気づくことでしょう。過食・拒食の人たちの特徴の一つに、初診時と終了時の印象がころっと変わるということがあげられます。例をあげてみましょう。

  • 初診では「親に心配かけたくないから、一人で治したいんです」と、うつむいてぼそぼそ。終了時には「私、これから言いたいことぽんぽん言うからね。お父さんもお母さんも覚悟しといてよ」。笑顔でうけとめる両親を前にこんなことを言っていました。
  • 「いつまでこんなだらしない生活続けてるの」「なんにもわかってくれない。お母さんとはもう口きかないから」と、責める母親と毎日が修羅場。それが治療終了を向かえる頃には「私が変わらないといけなかったんですね」「やっぱりお母さんが一番いい」。

いろんな過食・拒食の姿があります。一つ一つみんな違うのがこの症状の現実です。しかし「どのケースにもこうした終わりを迎えてほしい」。家族療法ならそれが可能です。しかも本書で紹介しているエコロジカル・アプローチなら、誰もが取り組めます。本書を参考にして一人でも暗いトンネルから抜け出てください。


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