職場うつ:男性36才(銀行勤務)一年の休職中
36歳の銀行勤務の男性です。職場を休職して一年がたったのですが、なかなか症状が改善しないということで来所されました。カウンセラーが状況をくわしく聞いていきます。日常生活の過ごし方、家族との関わり、心の不安の対処法などです。職場で感じたストレスなども重要なポイントです。
家の近くの心療内科で薬を処方してもらっておられました。休職して一年間のあいだに、「眠れません」「体調がよくないんです」など不調を訴えるたびに薬は増えて。今16錠の薬を一日3回に分けて飲んでいます。
ご本人の気持ちのなかには、「こんなにたくさんの薬のんでるけど、これってほんまに効いてるんやろか」「のんでるけど、しんどいな、だるいな」といった体調の悪さも気になります。「うつでしんどいのか、薬でしんどいのかわかりません。一体どうなんでしょうか?」といった疑問や不安が服薬に対してふつふつとわき上がってくるようです。その反面、「そやけど減らすゆうてもなー、大丈夫やろか。よけ悪なるんちがうやろか」といった不安があって減らすという方向も無理なようです。長引く症状に「昼間眠くてボーとしてるけど、こんなんで一体いつ復職できるんやろか」「早く職場に戻らないと、みんなから取り残されてしまう」というあせりも強くなってきています。
薬についての質問や不安がでると、精神科医である所長に助けを求めます。カウンセリングに一緒に入室してもらい、「薬を飲んだあと、ボーとしますか?」「途中で目がさめますか?」「食欲はおちていませんか?」など本人に直接質問がだされます。「ボーとして何も楽しめないのは薬のせいかな、など思われますか?」といろんな角度から質問があったあと、クライアントと家族の方に直接説明やアドバイスをさしあげます。精神科医はこの方の場合は薬をのんでいるほうがプラスだろうと判断し、そのように説明をしました。
カウンセリングが終わってご本人がこう言われました。「イライラや不安がつのって、死にたくなるときもありました。お医者さんに気になってたことを直接聞いてもらえてよかったです。不安だった薬についても説明してもらい、なんか心が軽ーくなったようです」。家族の方も「イライラしだしたらどないゆうてあげたらいいんか困っていました。けど今日のアドバイスで、対応の仕方が具体的にわかってホッとしました。ありがとうございました」と。ご本人も家族の方も、安心したような笑顔をうかべて帰って行かれました。
このように精神科医とカウンセラーがチームを組んで、我々はより安心できる確実なカウンセリングを受けていただけるよう、努力しています。
淀屋橋心理療法センター
福田 俊一(所長、精神科医)
増井 昌美(家族問題研究室長)
2010年11月4日
