介護福祉士(24才男)5:テレビで養護老人ホームの番組をみても平気に|うつ病・抑うつ状態・双極性障害(双極Ⅱ型) カウンセリング治療専門外来(職場のストレス)

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介護福祉士(24才男)5:テレビで養護老人ホームの番組をみても平気に

「職場のストレス・マネジメント」(メディカ出版)*という本を、母親が図書館でみつけた。息子の雄一が「うつ」と診断され職場を休職することになったのだ。

「母親としてどうしてやったらいいんやろ。もう大人やし、あれこれこまかくいうのもなんやし」と、母親はとほうにくれていた。近くの図書館で「職場のストレス」という索引をひいたりして出会ったのがこの本だった。

朝刊を読むのが楽しみになってきた

あんなに新聞を読むのがしんどかった雄一だが、治療をうけて五ヶ月になると、朝の様子に変化がでてきた。早起きして朝刊を取り入れるのが、雄一の役目のようになっていた。三ヶ月前、カウンセリングで『朝刊の見出しが読めるようになったら、ちょっと元気になれたかなと思います』と答えていたことを、雄一は思い出していた。確かにいまの自分と三ヶ月前の自分とでは大きく違っている。朝刊を読むのが楽しみになっている。

「雄一、今日の朝刊しらんか?」と、父親が聞いてくる。「あ、すんません。ちょっと気になる記事が載ってたんで、自分のへやにおいたまんまです」と。「ああ、そうかええで。用がすんでからでええから、リビングにおいといてくれたら」と、父親も以前とちがって、おだやかな対応ができるようになってきた。「雄一は怠けとんとちがうんや。しんどい思いをして必死に頑張ってるんや」と、カウンセリングで教わってから、雄一を責めるようなことはいっさいしなくなっていた。それどころか「ゆっくりでええんやで。雄一のペースでやっていったら」という気持ちで見守っている。

散髪をしてすっきりしたかんじになった雄一

「あと一月ですな、お父さん」と母親はつぶやいた。休職期間は六ヶ月とれていた。カウンセリングがスタートした時点では、一月だったが、カウンセラーのすすめで六ヶ月にのばしたのだ。それもあと残るは一ヶ月となった。「ほんまやな。だいぶ元気になってきとうけど、あの頭ではなー」と父親。雄一のぼさぼさ頭が気になるのだ。うつ状態になってから半年ちかく、散髪に行っていない。のび放題でまるでぼわぼわの雀の巣みたいな頭をしている。ここでカウンセリングをうけはじめたころと、現在の良くなった点を比べてもらった。

カウンセリングを受けはじめたころ

  • 朝は起きてこず、昼頃に起きてきていた。
  • 顔あらい歯磨きもめんどくさいと言っていた。
  • 新聞を見ることはもちろん活字がしんどかった。
  • 仕事のことを思い出すと自分の頭を拳でたたく。
  • 「僕の将来どないなるんや」と、イライラ。

現在の状態

  • 朝は7時から8時のあいだには起きている。
  • 顔あらい歯磨きはしてあたりまえに。
  • 朝一番で朝刊を読むのが楽しみに。
  • 「よくがんばってたよな」と、肯定している。
  • テレビを見たりゲームをしたり楽しんでいる。

「ほら、お母さん見て」と、雄一が外から帰ってきた。母親は頭を見てびっくり。もじゃもじゃしていた髪の毛はなくなって、すっきりしている。「えー、あんた散髪にいってたんかいな」「うん、そうやで。毎朝自分の顔、鏡でみるたんびに、はよ散髪せないかんな」とおもっとったんや。そやけど体が重とうて、なかなか動かへんかった。リビングでゴロゴロしてるとき、ふと『思い切って髪の毛きれいにしよう』と、思ったんや」と雄一。母親は「えらいすっきりしたなー。いっぺんに男前になったで」と、うれしそうだ。やはり雄一も一月後の職場復帰を意識しているようだった。

養護老人ホームの番組をみても平気になった

両親が大きな変化だとびっくしたことがもう一つある。それはテレビで「高齢化社会をむかえて」という番組をやっていたときのこと。いままでなら「おじいさん、おばあさん」の顔が映っただけでも「うわー、チャンネルかえてくれー」と叫んだり、自分の頭をこぶしでたたいたりしてパニック状態になっていた。それが最近はイライラするどころか、関心をもってみられるようになった。「なー、お母さん、僕ってすごい大切な仕事やってたんやな」と、話しかけてきたりする。「若い人らわな、老人をお世話する仕事は3Kゆうんやて。きつい、きたない、危険やて。そんな失礼なこと、ようゆうな。『ほなら、あんたらは年とらへんのか』ってゆうてやりたい。ほんま腹たつわ」と、雄一は本気で怒っている。

「テレビをみて批判的なことを言ったり、腹をたてたりするのは、内面にエネルギーがたまってきた証拠ですよ。この調子なら雄一さんは一ヶ月後の復職も可能性がみえてきましたね」と語るカウンセラーの言葉に「ほんまですか。ええ方向にきてるんですね」と、両親は驚いたり、喜んだり。「いよいよ復職か。その前にもう一山、雄一君といっしょに対策を練っておかなくては」と、カウンセラーもうれしそうにつぶやいた。

介護福祉士(24才男)5:テレビで養護老人ホームの番組をみても平気に。

*「職場のストレス・マネジメント」(1989年、メディカ出版)福田俊一、増井昌美著

淀屋橋心理療法センターより刊行された本ですが、今は絶版になっています。

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福田俊一(所長、精神科医)
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よくある質問

 息子にカウンセリングの話をしても行きたがらないと思うのですが、どうしたらよいでしょうか。

 カウンセリングは初めてで、どんな場所でどんな形でするのか不安です。


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