最近サラリーマンのうつで、とても残念に思うことがあります。それは薬をのんだり、カウンセリングを受けたり、休養したりしていても、なかなかはかばかしくなく、結局会社をやめてしまう人が多いことです。
もし早期からより適切な治療を受けていれば、問題を甘くみず、最初から克服の努力を積み重ね、会社を休職している期間中に解決できたのにと思うことがしばしばあります。サラリーマンの心の病を治療するときの問題点は、時間との戦いです。あせって治療するというよりは、あせらなくていいように早めに手を打っていくということです。
最近の抗うつ剤はめざましく進歩していますが、やはりそれは一時の助けでしかなく、根本的な解決ではありません。ゆううつに陥りやすい自分を直視し、自分にあった抜け方や危機への対処の仕方をつかまなければ、自分はうつを克服したとは言えないでしょう。そうしないといつまでも再発を、心のどこかで恐れなくてはいけないのです。
淀屋橋心理療法センター
福田俊一(所長、精神科医)
増井昌美(家族問題研究室長)
