就活の失敗からひきこもりになり、昔の恨みを言い出した

ひきこもりの息子さんを持つお母さんからのご相談でした。

息子さんは大学卒業後、就職活動に失敗してからほとんどの時間を自室で過ごすようになり、全く職に就こうとしません。そのような状態になって7年以上が経ちました。現在29才です。

ほとんど自室でPCやゲームをやっており、出かけるといえば夜中にコンビニに行くぐらいです。

息子さんがひきこもり気味になった当初、お母さんは早めに専門家に診てもらった方が良いと思い、息子さんを近くの心療内科へと連れて行きました。すると、そこの先生に「君はただ怠けているだけだ」「もう二十歳を過ぎているのに」等とお説教をされてしまいました。帰宅した息子さんは「二度と医者には行かない!」と激怒したそうです。それ以降も何度かお母さんは別の病院へ連れて行こうとしましたが、その度に激しく息子さんが抵抗するので、とうとう病院に連れて行くことは諦めてしまったそうです。

それから数年の時が流れた後で事態がさらに悪化しました。ある時から突然、息子さんが昔の恨みを言うようになったのです。「小学生の時に無理矢理塾に行かせやがって!」「ピアノがうまく弾けなくて、叱られたことは忘れないからな!」などです。

30前の息子さんが突然、随分昔の苦い思い出を言い出したことに驚いたお母さんは、これはなんとかしないと!と思いました。しかし、病院に連れていく自信がありません。悩んだお母さんはインターネットで必死に情報を集めました。 そして家族療法を専門としている淀屋橋心理療法センターのHPに行き着いたと仰っていました。

お電話にて、「そちらは本人抜きでカウンセリングを開始できるんですか?」というお母さんのご質問に、私が「はい、そうです。」と答えると「そうですか!そういうやり方もあるんですか。希望の光が見えました。」と明るくなったお母さんの声が印象的でした。

2014.05.27  著者:《大阪府豊中市 淀屋橋心理療法センター》スタッフSK

               

記事内容の監修医師

淀屋橋心理療法センターの所長 福田 俊一

淀屋橋心理療法センター所長 福田 俊一

  • 医師。精神科医。淀屋橋心理療法センターの所長であり創業者。
  • 日本の実践的家族療法の草分け的存在。
  • 初めて家族療法専門機関を日本で設立し、実践、技法の開発、家族療法家の育成に貢献した。
  • その後は、摂食障害、不登校、ひきこもり、うつ、家庭内暴力(子から親へ)、リストカット等の家族療法の開発に尽力している。
  • 著書多数。

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