不登校は『早期発見、早期対策』が一番

不登校は「早期発見、早期対策」が一番

高校生の不登校対策として『早期発見、早期対応』がいかに大切かということを、親ごさんたちにご理解いただきたく思います。そこで次のような文をまとめてみました。


親ごさんだけのカウンセリングでスタート

 不登校の問題は、出席日数、留年というタイムリミットが関わってきます。「そのうちに何とかなるだろう」と思っているあいだに、進級できなくなるということはよくおこります。かといって「まだ不登校と決まっていないうちに騒ぎ立て、事態をこじらせたくない」という親ごさんのお気持ちもおありでしょう。子どもさんはそのままで親ごさんだけおいでいただき、対応の仕方などについてアドバイスをさしあげます。親自身が心構えをもち、対策を準備しておくというだけで、いざとなると不登校の深みにはまらずにすんだということがよくあります。

きっかけは小さいけれど、長引くとやっかい

 不登校を乗り切れるかどうかということは、親と本人の「危機対応力=ピンチの時に対応する力があるか」にかかっています。きっかけはささいなことが多いものです。「クラスになじめない」「授業についていきにくい」「友だちができない」「こんなはずじゃなかった」など。「行くのいやだな」と思って「行かない」日が重なり、いつのまにか時間がたってしまいます。不登校のきっかけは小さかったのですが、「今さら行っても目立つからいやだ」「行きづらいな」「なんか言われるんじゃないか」「みんなの目が気になる」と、行きにくい原因は雪だるま状に大きくなっていきます。

危機対応力のない子の場合

 あと何日で留年というタイムリミットに近づけば近づくほどあせりがでて、親と話し合おうという方向でなく、自分の部屋に引きこもるということになるでしょう。「ほっといてくれ。うざいっ!」と、学校の話はよけいプレッシャーになりはねのけてしまうでしょう。また「あしたっからは行くよ」と、プレッシャーから逃れるために空手形を約束し続ける子もいるでしょう。あるいは「もう学校はやめる!」と言ってしまったら楽になるかと、本心ではないのに切れてしまう子もいるでしょう。

 このように危機対応力のない子は、問題を避け、親を避け、担任を避け、友だちを避け、しだいに孤立する方向へ行きがちです。

危機対応力のある子の場合

 危機対応力があると、「行きたいけど、朝が起きられないんだ」「数学がわからない。どうすればいいんだ」「みんなの目が気になって。保健室登校ってできないのかな」と、前向きの相談を親や先生にすることができます。また「行きたいけれど、行けないんだ」「行きたくないけれど、行かなくてはならないんだ」といった、複雑な気持ちが渦巻いていることもあります。心のなかの迷いを、周りにいる親や先生に話すこともできます。

親の工夫で子は変わる

 子どもが自分の悩みや気持ちを話せるようになるには、まず周りが変わらなくてはなりません。周りの大人がくふうすれば、子も変わる。この積み重ねは今すぐにでも始めなければいけないのです。

 みなさんのご家庭にはそれぞれの価値観があるでしょうから、強制はいたしません。でももしこれを読んでいただくなかで、「早く誰かに相談してなんとかしたいと思っておられる方」「なんとか早く打てる手はないかと思案しておられる方」は、きっとおれられるはずです。そういう方はどうぞ一度、淀屋橋心理療法センターの扉をたたいてみてください。

 親だけが早く動くことで子どもが気づかず、まったく傷つかない状態で事態を改善に向けて進めることができます。早く動きたいけど子どもが心配で、事態を大きくしたくないと思っておられる親ごさん、大歓迎!

2019.04.17  著者:《大阪府豊中市 淀屋橋心理療法センター》福田俊一

               

記事内容の監修医師

淀屋橋心理療法センターの所長 福田 俊一

淀屋橋心理療法センター所長 福田 俊一

  • 医師。精神科医。淀屋橋心理療法センターの所長であり創業者。
  • 日本の実践的家族療法の草分け的存在。
  • 初めて家族療法専門機関を日本で設立し、実践、技法の開発、家族療法家の育成に貢献した。
  • その後は、摂食障害、不登校、ひきこもり、うつ、家庭内暴力(子から親へ)、リストカット等の家族療法の開発に尽力している。
  • 著書多数。

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