世間では、スマホやネットゲームのやりすぎは「スマホ中毒・スマホ依存」「ゲーム中毒・ゲーム依存」など、たいていはマイナスの意味合いで使われることが多いと思います。
実際、当センターの不登校のカウンセリングでも、スマホやネットゲームのやりすぎは、向き合うべき問題(登校・進路)をしっかり考えず、「現実逃避」に走ってしまっている結果である場合が多く、「改善すべきこと」として扱う傾向があります。
しかし、よくよくスマホやネットゲームにはまっている子たちの様子を聞いていると、単に現実逃避だけでなく、「この子はもしかして対人関係の練習をしているのかな?」と思わせるような子もいます。ある日、担任やクラスメートから聞いた情報や予定を、親御さんから子どもに伝えたとき、「知ってる。LINEでみた」「うん、ツイッターに書いてあったし」と、すでに学校の情報をLINEやツイッターなどのSNS経由で知っていることがあるのです。
このような子たちは、ひきこもりで不登校ではあるものの「ネット」という手段でクラスの子や学校との接点を持っているのです。大声でネットゲームしながらしゃべってるなーと思っていたら、実は相手の子はクラスメートだったり。意外とクラスとの子や日々の学校の情報は親以上に知っている場合も。
登校できず家にひきこもっているものの、誰とも接点をもたない「ひきこもり」の子よりは、日頃から学校の情報が手に入っていたり、学校の友だちとの接点があった方が学校(登校)に対する意識は高まります。また、いざ登校する際にも、授業の進み具合、休み時間の様子、流行っている話題などがわかっているだけに、再登校の「不安」自体が少なくなる子が多いようです。
淀屋橋心理療法センター
所長 福田俊一(精神科医・心療内科医・児童精神科医)
担当 小川和夫(不登校・非行問題研究室長 ファミリーセラピスト・心理カウンセラー)
2015年2月25日
