気に入った靴でないと外出できない子をどうする|その他の診療科目

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気に入った靴でないと外出できない子をどうする

「もういいじゃない」「いや、あれでないとダメ」。言い出すと思いがとおるまでテコでも動かない。なにかにつけこだわる子っていませんか?。卓夫(小学6年)もその一人。出かけるときの靴が自分で思っている靴でないと、動きません。家族でおでかけというまぎわにすったもんだしたエピソードを一つ。

卓夫:お母さん、ぼくの運動靴どこへやったん

母親:ああ、あれは洗って干してあるよ。ずいぶん汚れてたやろ。

卓夫:えー、洗ったん。どないしよう。僕、あの靴でないとでかけられへん。

母親:こっちのブルーの靴はいていったらええやん。もうお父さん外で待ってはるよ。

卓夫:あれでないとダメやゆうてるやろ。あれ持ってきて。

母親:まだ乾いてへんよ。今朝洗ったから。

卓夫:かまへん、ぬれててもええから、持ってきて。

母親:なにゆうてるの。ぬれたんはいて行くつもりかいな。やめとき、そんなこと。こっちのブルーでもかわらへんやないの。

卓夫:いや、あかん。あれでないと。頼みもせんのになんで勝手に洗たんや。お母さんが悪い。

父親:いったいいつまで待たせるんや。なにしとんや。え、靴?そこにあるやないか。それはいていったらえんや。はよせんと遅なるで。

卓夫:(黙って下を向いて動かない)

父親:はよせんか。靴はかんか。もう置いていくで。

卓夫:(泣きながら)お父さんはいつでもそうや。自分の思い通りに僕を動かすんや。僕の気持ちなんかわからんと。

5月のゴールデン・ウイークの楽しいお出かけが、朝からこの調子でおじゃんになってしまいました。家族で出かけようと言うときこんな光景は覚えがありませんか。「なにも靴ぐらいでこだわることないのに。どれだって同じじゃない」と、思っていませんか。それが親側のおおざっぱな解釈であり、こだわる子の心の扉が閉じていきかねないのです。こだわる子の対応のこつをあやまると、てこでも動かないだけでなく、本人のもつ良い芽を伸ばしてやることができません。

「こだわり気質」というのは生まれつきのもので、成長してもほとんど変わりません。大事なことは「基本的に変えられないものをしっかりと把握しておく」ことです。卓夫君を例にとりましたが、このこだわり気質の子どもはとても多くいます。非常にきちょうめんで慎重で、ところが一方自分の思い通りにならないと、むちゃくちゃ投げやりになったりします。そのうえ、こだわっているのに自分の気持ちを言葉で表現して伝えるのがへたなんです。言いたいことが言えないまま「はやく」とせかされると、頭が真っ白になったりパニックったりします。

じゃどうすればいいのでしょう。対応の仕方を次のモデル会話で紹介しましょう。参考にしてください。

母親:うん、どれどれ。あの靴を持ってくるのね。ちょっと待ってて。はい、これ。

卓夫:まだ濡れてるやんか。どないしてくれるんや。

母親:ごめんね。お母さん洗ってしまったんや。うっかりしてたわ。この靴でないと外出だめやのにね。

卓夫:ちょっとはいてみる。これでえええわ。ぬれてるけど、これで行く。

母親:そうか、そうするか。じゃちょっと待って。ドライヤーで乾かしたげよ。(ドライヤーを持ってくる)

卓夫:(ジーッと母親を見ている)ええわ、そこまでせんでも。こっちのブルーのんはいていく。

母親:え、ブルーのん? 卓夫君あれはいかんのやろ。すぐ乾くから待ってて。

卓夫:いや、これでええ。もうはいてしもた。行くで。

これでようやく丸くおさまりました。先ほどの親子の会話とどうちがうかおわかりですか?時間的にしてもそうかわりません。対応のコツの一つは「イエスで受け止める」です。卓夫君のお気に入りの靴をはいていくという主張を、母親はまずイエスで受け止めています。言い分を聞いてやり、のっていってやります。終わりあたりでは母親の方が、卓夫君よりもしつこく靴にこだわっています(意図的に)。コツの二つめは「本人よりも、まわりが少ししつこくこだわってあげる」と、意外にすんなり本人は動き出します。

こだわる子を動かすこつを二つお話しました。きわめて小さなエピソードですが、日常のささいな出来事から入ると練習しやすいですよ。参考にしてみてください。

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