アトピー性皮膚炎
アトピーの子どもを持つ親たちは、本当に大変です。食べるとアトピーがひどくなる食品のリストを台所にはって食材を吟味しながら献立を作ります。薬物療法として使われるステロイドもよく効きますが、使い方を工夫しないといつまでもアトピーから脱出できないという事例をよく聞きます。皮膚科の領域とみなされていましたが、最近では心身症の一種とも考えられるようになり、心理的な面からの治療がクローズアップされるようになっています。
当センターでは、来所ケースのなかでアトピーが主訴というのはありませんが、不登校、不安神経症、親子の葛藤などのケースにアトピーの子どもがいます。しかし、ストレスがかかるとアトピーがひどくなるということが明らかになり、今後はアトピーだけの相談も増えそうです。思春期をむかえ、親の「掻くな」という指示に従えず、ボリボリかくことでよけいに悪化。薬をつけたつけないでまたけんか。夜がねむれない、勉強ができないなど、なにかにつけ親子の間がぎくしゃくする原因となりがちです。すると家庭内ストレスからまたアトピーが悪化するという悪循環になります。アトピーという問題を前に、子どもはどう対応能力をつけ今の自分から脱出していくか、また親も親としてさらに成長していくかが根本的な解決の鍵になります。
幼い頃のアトピーは大きくなるにつれ治っていくこともあるのですが、身体を鍛えておくことも予防の一つになるでしょう。家族療法の治療例からですが、アトピーになる子のタイプには二つあるように思えます。いろいろ思いを秘めているけれども、口に出して言えないおとないしいタイプの子。もう一つはワーッと主張するけれど、自分が爆発しているだけで相手を納得させられない子です。思春期をむかえてつまずかないよう、小さいころから心の中で思っていることを言える子、自分の意見を主張できる子、相手を納得させられることができる子になるよう、親子の会話をとおしてトレーニングしておくことが大切です。またアトピー向けの心理療法も最近効果をあげてきています。早い段階で心理の専門家にかかって適切な対応の仕方を学ぶことも、とても効果的です。