家族システム論1|所長・医師 福田俊一

所長・医師 福田俊一
家族システム論1

家族療法家は症状を背負った子どもをみる場合、家族が問題らしいということ、奇妙なこと、興味深いこと、その他非常に大事なこと等さまざま気がついていました。しかし、残念ながら家族療法家は長い間認められるということがなかったのです。それは、やはり家族を扱うという技術が大変むずかしく、治療を成功に導くことが最初のうちはできなかったという理由からきています。面接の場で、治療者自身が家族に巻き込まれてしまい、何が何やらわからないという状態陥ることがよくあります。それぐらい家族というのは中へ入りますと混沌としたものをもっています。

そういう意味で、家族療法は最初は失敗の連続でした。ここが問題だということはよくわかっているけれど、それをどうしたら良いのかわからない。自分の思うとおりやっても全然思うようにいかない。たとえば、家族のコミュニケーションが問題だと思って治療者は家族の人たちがいろいろ話し合えるようにもっていきます。家族がニコニコ話し合う。お父さん、お母さん、子どもさんが仲良く和気あいあいと話している。「よし、これでコミュニケーションはうまくいった、バンザイだ」と思っていたら、次の面接に来られた時に「また悪くなりました」というようなこともあったりするわけです。単にコミュニケーションがうまくいったから、治療が成功したというわけではやっぱりないんです。もう少し深いところに入り込まないといけないんでしょうか。

そういう家族療法で四苦八苦していた頃、1950年、60年、70年代ぐらいからぼつぼつと「家族システム論」という考え方が進んできました。家族療法は「家族システム論」が見つかり、そういう考え方が生まれて初めて家族を効果的に援助できる形になったわけです。それまでは家族で集まるということはむしろ有害であると考えられていました。むしろ、個人個人にとって自分の人生をどう生きていくか、今の自分の前にある問題をどう解決していくか、その方が大事なんだという考え方が主流を占めていました。

これにはそれなりの理由があるということで、もっともなことです。やはり人間の考え方というのも、技術の発展とともに変化しています。産業革命の後に技術が進歩し、それに合った考え方が進んできました。家族療法の分野でもこれと同じことがいえます。家族を扱ってどうもうまく解決できないという時には個人を対象に考えていたが、家族全員のことがうまく扱えるようになると問題ではないかというような思想が出てきました。個人個人の問題もあるけれど、むしろ家族全体のかかわり合いが子どもの症状に大きな影響を及ぼしている。ここを解決することができればかなり早く、かなりすきっと様々な情緒障害の問題が解決できるんじゃないか、という考え方に変わってきました。あるいは、解決できるという報告が1970年代の後半から続々と発表されだしました。今では家族療法関係の本はアメリカでは一つの本棚におさまらないぐらいにたくさん出ています。

次に、その家族システム論というのはどういうことかというお話をしましょう。端的に言うならば、家族は一つの顔をもっているという事です。お父さんの顔、お母さんの顔、子どもの顔、それぞれ違いますが、家族全員が寄り集まった時に見える顔は、それとはまた違います。日本でもよく言いますね。「夫婦は『1+1=2』ではない」と、あれです。日本には家族を全体としてとらえるという思想がすでにあったわけです。家族一人一人を足してそれぞれの性格がこうだから、この家族はこういう家族だということは言えないんです。たとえば、お母さんはA型だからこういう人、お父さんはB型だからこういう人、子どもはO型だからこういう人、それを全部足すとA+B+O=ABOだから、この家族はABO家族だということが言えないんです。それはなぜか。実は、お父さんにしても変わるのです。ある大きな会社の事業部長さんで、いろんなことをバリバリこなしてきました。組織を動かすことなんかはお手のものです。部下のカウンセリング、まかせなさい。そういう方なんですが、いざ家に帰って息子さんの前にでるとまったく無力になってしまいます。

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福田 俊一(所長、精神科医)

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