「心理療法ってどんなことをする所かな?」とお思いの方も多いのではないでしょうか。よくご存じのカウンセリングセンターと考えていただいて良いと思います。ただ淀屋橋心理療法センターのカウンセリングはとてもユニークな方法をとっています。一言で言って筋金入りです。今日はそれをみなさんにお話ししましょう。
当センターに来所されるケースはとても重症の方が多いのです。いくつかの病院や医院をまわって治らず紹介されて来所という方も多いし、途方にくれて本や新聞を見てかけ込んできたという方もおられます。不登校、摂食障害、過食・拒食、うつ、家庭内暴力、無気力症、夫婦問題など扱う症状はさまざまです。共通して言えることは本人のみを対象とする通常のカウンセリングだけではとても治癒するのは難しいだろうということです。家族の援助、家族も治療の対象としてとらえた視点が必要という家族療法(ファミリー・セラピー)を中心に治療をおこなっています。
私は長年の経験から一つの治療哲学を信じています。それは「治療は勝負である」ということです。勝つということは悪いパターンから抜け出し、本人や関係者が安堵感と達成感を手にすることです。負けるということは悪いパターンから抜け出すことができず、疲労や絶望感で終わることになります。症状は本人を苦しめ親やきょうだいなどの家族を巻き込んでいます。治るか治らないかは勝負であると、それくらいの気合いを入れて取りくまないと、症状から抜け出すことはできないというのが実感です。
それでは勝つためにはどうすればいいのでしょうか。まずは良いカウンセラー(セラピスト)につくこと。次に本人や関係者が「必ず勝つんだ」という気迫と姿勢であたること。この二点ではないでしょうか。症状を抱えた本人には闘う気力が残されていないかもしれません。そんなとき家族のメンバーが支えあいながら症状に向かっていく決意がなければ、勝利を手にすることはできないでしょう。私は「治療は闘いである」と信じていますし、勝つための努力を惜しんではいけないと思います。
淀屋橋心理療法センター
福田 俊一(所長、精神科医)
