1.根性論でたたき出そうとしたが、裏目にでて|ひきこもり カウンセリング治療専門外来 ニート(NEET)

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1.根性論でたたき出そうとしたが、裏目にでて

来所してから三年がたって

洋次は現在27才。来所したときは24才だった。治療を開始して三年が経過したわけだが、来所した当時をふり返ると、立ち直りへの歩みは決して早いほうではない。しかし洋次から受ける印象はころっと変わった。来所当時は、髪も髭も伸びていたし、ほとんど自分からは話さない、うつむき加減の青年だった。今ではお気に入りの散髪屋さんもあるし、歯医者にも一人で行ける。自分の好きなこと、体験してきたことなどについては、饒舌なほどしゃべるようになった。フリーターとしてクリーニングの店でも働いているし、野球クラブを通じて友達も増えた。

根性論でたたき出そうとしたが、裏目に出て。

ここで洋次の三年間を振り返りながら、ひきこもりからの立ち直りになにが大事かをおさえていきたい。

大学二年のときにつまづき、三年で中退

洋次は大学二年(19才)の夏休みあけから学校に行けなくなった。「しんどいんや。授業おもろない」と言って、遅刻や欠席が増える。母親はこのころを振り返って「もっと親身になって話を聞いてやればよかったと思います」と、話していた。父親がどちらかというとスパルタ式で「なんや、大学生にまでなって母親がかかわるんか。ほっとけ。自分で解決させろ」という一声で引いてしまったという。

三年にすすんだがほとんど授業には出ていない。「外に出ると、人の目が気になって。自分がみられてるみたいでしんどい」とか「クラスゆうても、大学は形だけやしな」。「ほんならクラブはどうなの。好きなギターやねんから、楽しいんとちがうんか」と、母親は話し相手になってやった。しかしギター部へ顔をだしても、たまにしか出ないからみんな知らん顔だし、声もかかってこない。「なんかむなしいて、さみしいて、帰ってきてしまうんや」と言っていた。

ほどなく大学を中退する。その後なにもしないで家にいる洋次を父親が叱るが、言い返すということをしないまま自室に入ってしまう。そんな繰り返しが半年も続くと父親も切れて「出て行け。このなまけものめ」と、一喝。それいらい洋次は自室にひきこもったままだという。

ごろごろしながらテレビとパソコンの毎日

「おうちでの様子を話していただけませんか。中退されてから、もう四年になりますが。ご家族での話し合いとか、どこかに相談なさったとかは」と、カウンセラーは聞いた。

聞いていくと洋次の生活ぶりは、他のひきこもりやニートの人たちと変わらない。朝起きてくるのはお昼前ごろ。朝昼兼用の食事をとる。誰かといっしょの食事はいやがるので、母親がつくってテーブルの上に置いておく。それを自分で温めたり、ごはんをジャーからついだりして食べる。食べ終わると食器は流しに運んで、また自室へ。テレビをみたりパソコンでゲームやインターネットをして時間をすごしているようだった。好きなギターを弾いているときもたまにはある。お気に入りだった。。。の音楽が流れてくることもある。

「あまえとんじゃ。怠け者め」という父親の一喝

父親は「ほっとけ、そのうち動き出すやろ。もう20才すぎたらりっぱな大人や。親がいちいちかまうことないやないか。自分のことは自分でやらせろ」と言うのみで、真剣に向き合おうとはしなかった。

夕食のあと、洋次は父親と言い争いになったことがある。「おまえ、いったいいつまでこんな生活続けるつもりや。ええかげんに仕事したらどうや」と、父親が追い詰める。「どなしてええか、僕もわからへんのや。ほんまに僕のこと、僕の気持ちになって考えてくれたことあるんか」と、めづらしく洋次も言い返す。しかし「そんな甘い考えで世の中わたっていけると思うんか。あまえとんじゃ。この怠け者め」という父親の怒鳴り声に、洋次は泣きながら食卓に置いてあった箸をボキッと折ると、逃げるように部屋に入ってしまった。

ますます自室にひきこもってしまう

それ以後、洋次の様子はますますひきこもりがひどくなった。食卓で食べていた食事も自室に運ばないと食べないし、一日じゅう布団の中でボーとして過ごす日もでてきた。トイレとお風呂以外は部屋から出てこない。必要な物は、紙に書いて母親に渡すだけ。「あんた、散髪せんと。お母さんがしてあげるから出ておいで」という母親のよびかけにもうとましそうに、「ほっといてくれ、これでええ」というだけであった。

ますます動けなくなる息子の様子に母親は心配して近くの相談所にでかけていった。さすがの父親も「怒鳴るだけではあかんのやな、あいつは」と反省ぎみではあるが、どうしていいかわからない。しかしそれからあっというまに三年が経過。相談所に通っていた母親は、本屋でみつけた「家族療法」の本を読んでみた。「洋次の問題は、家族ぐるみで治していかんとあかんのとちがうか。本人に任せといて、どうなるものでもない」と気づき、父親を説得して当センターに来所した。

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福田 俊一(所長、精神科医)
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 息子にカウンセリングの話をしても行きたがらないと思うのですが、どうしたらよいでしょうか。

 カウンセリングは初めてで、どんな場所でどんな形でするのか不安です。


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