友だち・社会性関連編:いじめっ子

男の子(小6)をもつお母さんの話です。「うちの子、いじめっ子なんです。わかったときショックでした。なんで、友だちをいじめるの。まだいじめられてるほうがましやわ」と、お母さんは嘆かれます。

仕事から帰ってきて急いで夕飯の支度をしているとき、玄関のピーンポーンがなりました。「はーい」と答えてドアをあけると、あわてて逃げ帰る男の子の背中が見えたというのです。「なに、どないしたん。あんたいたずらでならしたん」とつかまえて聞くと、なんと次のような言葉が返ってきました。「いじめんといて。S君、僕のこといじめんといて」と、泣きながらさけんで逃げていきました。

初めはなんのことかわからなかったお母さんですが、落ち着いてやっとその男の子の言った意味がのみこめました。自分の子が、同じクラスのD君をいじめていたのです。耐えかねて、家に直訴に来たというわけです。

『いじめっ子』(別冊PHPより)

いじめっ子の心理を知っていますか。いじめる子たちは、グループを組んでいることが多いですね。クラスでもボス格の子がいてそれを三~四人がとりまいて、次々といじめの対象を変えていく。ときにはクラスみんなが参加してはやしたてたり。いじめは集団の結束力を固めるというメリットをもっているのです。

むかしは学校や地域の子供会などで、みんな協力していろんな行事を行いました。いっしょに汗を流して知恵を出し合うなかで、よい意味の結束が生まれたのです。今はそんな機会も少なくなり、ストレスを解消するという形でいじめが起きています。

いじめは子どもの世界の出来事だけに、おとなが介入してもその実態をつぶさに知ることは不可能に近いでしょう。いじめっ子をつかまえて謝らせてもそのときだけで、陰ではもっと陰湿ないじめが潜行する恐れがあります。

ある小学校の校長先生がこう話されました。「いじめっ子五人を呼んで話を聞いたんだが、いじめたことを責めるよりも、一人ひとりの心のなかにある言い分にしっかり耳をかたむけてやることだ。お母さんのいない淋しさや、お父さんに殴られたことや、勉強のできないつらさや、先生への不満なんか、いっぱいかかえている。まず、いじめにいたった背景を理解してやり、次にいじめは悪いことだと、しっかり教えてやれば、きっと自分たちのしたことを反省するだろう」。

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