性格は変わる?変えようとするよりも生かす工夫を(商事会社勤務、45才男)

劣等感から抜けきれない自分を、なんとか変えたい

面接室には男性が一人座っている。手帳を前に広げて、しきりにスケジュールを確認しているようだ。なでつけたヘアースタイルから、几帳面さが感じられる。

「電話受け付け表はどこかな」。担当セラピストは、前もって要点を書き込んである受け付け用紙に目をとおした。「阪田啓次(仮名)、うつで入院歴あり。服薬を続けている。高校生の子どもさんが二人。現在は休職中」。担当セラピストはもう一度モニター画面に目をやってからカウンセリング室へと入って行った。

(以下はセラピストとクライエント阪田さんの話しである)

うつは治ったが、劣等感の性格が足を引っ張って

セラピスト:今通院中ですか?そこでうつの薬をもらってのんでおられるようですね。

阪田:はい。やっぱり薬をのみだしてから苦しさは楽になりました。2週間入院もしまして。もう大丈夫かなと思って、会社に復帰したんですけど、そこで又つまづいてしまいまして。

セラピスト:仕事がきつかったんですか?退院していきなり現場復帰は再発しやすいんですがね。

阪田:いや、前の現場最前線からははずしてもらいまして。それはよかったんですけど、事務職がなじめなくて。「なんでこんなことができないんや」と、思い出したら落ち込んでしまって。

セラピスト:なにか失敗をされて、それを上司の人にでも叱られたんですか?

阪田:叱られたんじゃないんです。上司は気をつかってくれまして。それがかっての部下でして。ノルマはないし。働きやすい環境を配慮してもらって。

セラピスト:それはありがたい。なぜそれがつまづきに?うつ病からは入院、服薬で乗りこえられた。職場の対応もいい。それでまた休職中とは。よほど根のある問題があるんでしょうか?

阪田:性格です。中学生ごろからずーと引きずってます。劣等感から逃れられないんです。仕事にたいしてなかなか決断がくだせないし。頼まれると「あ、自分にはできひん」と、断ってしまうし。この劣等感の強い性格をなんとか変えたいんですが。

セラピスト:それでよく商社の営業畑でやってこれましたね。かなり無理をされてたんではないですか?

阪田:そうです、その通りなんです。自分の劣等感を隠して、必死で仕事に打ち込んできました。それが40才をむかえたころから下り坂になってきたような気がします。

セラピスト:頑張りすぎはったんですね。燃え尽きたというわけですか。休養と薬で回復する人も多いんですがね。

阪田:はい、初めは薬もよかったんです。でもだんだん増えてきまして。今は6種類くらいのんでます。薬もいいけど、ほんまに自分の抱えてる問題は解決せーへんと思いまして。この性格をなんとかせんことには。

セラピスト:性格を変える?性格は生まれつきのものやからね、変えるのは難しいんですよ。それより持ち味を生かすという方向で取り組んだほうがずっとメリットが大きいと思いますが。

阪田:こんな性格でも生かす方法はあるんでしょうか?

セラピスト:もちろんですよ。あなたのように何かをやるまえに不安になったり、何をしても人より劣っていると感じたりする人はよーけいはります。けどそんな人たちでも持ち味をじょうずに生かして、成功している人もよーけいはります。自分の性格のつき合い方のこつをカウンセリング覚えていただきましょう。その方向でやってみませんか?

阪田:はい、よろしくお願いします。

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