性格・行動関連編:落ち着きがない

疲労困憊してしまったお母さんがこられました。ご主人と一才半になる男の子もいっしょでした。

母:なんでこの子、こんなに動くんやろね。一時もじっとしてないんです。

父:あんたもそうやで。ずーとなんかしてんと、気がすまへんタイプやんか。

母:ということは、この子は私に似てるっていうの。私が子育てにへとへとになってるの、自業自得やっていうの?

父:そんなことゆうてへんやん。被害意識強いから、なんもあんたには言えへんのや。

母:お父さんも変人やし、私も変人やし、その子が変人なんもむりないな。

子:(ギャー、ギャーと言いながら父と母の間に割って入って話ができなくなる)

子どもが騒いで、二人の口げんかっぽいやりとりは、中断してしまいました。母親が誰と話をしていても、じゃまをしにやってくるということです。テレビを見ていたら、チャンネルを変える、スイッチを切ってしまうなど。片時も目が離せないほど、落ち着きがなく育てにくいと、母親からグチがこぼれました。

『落ち着きがない』(別冊PHPより)

いつもじっとしていなくて、タンスから飛び降りたり、叫んだり、弟の頭をポカンと叩いたり、普通の落ち着きのなさと違って常軌を逸している子がいます。そういう子はだいたいに好奇心が非常に強い場合がよくありあります。好奇心が強いということは、素質的にはとても楽しみな子どもなのですが、極端な落ち着きのなさの背景には、不安な気持ちがいっぱいあるのです。とても恐がりな気持ちをもっている子でもあるのです。それをお母さんになかなかわかってもらえない、自分も表現するすべを知らないというケースが多いようですね。

ですから、落ち着きが治ってきたとき、ものすごい恐がりが表面化することがよくあります。今までその子本来の姿が発揮されてなかったのですね。

お父さんとお母さんが話していると割って入ってくる子がいます。じっと一人で待っていられないのですね。ある程度、世代ごとにけじめになる線があって、それを「世代間境界線」というのですが、そこを乗りこえてくる。こういう場合、「いいよ、おいで」と境界を破る手伝いをしてもいいですし、あるときは「今はダメ」と、けじめを覚えさせることもたいせつです。

また、お母さんに際限なくしゃべりかけている子がいます。もともとしゃべるのが好きということもありますが、親の対応が悪くって、しゃべっても満足していない場合があります。短い時間でも子どもの話をしっかり聞いて、十分満足感を与える聞き方をこころがけてください。学校の授業中に走り回る子とか大声でしゃべる子、先生をちゃかす子は自分に関心をもってほしいのです。家庭でうんと関心を示してやれば治ります。

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