性格・行動関連編:動作がのろい・ぐず

幼稚園でお弁当を食べるのがいつもビリという子がいました。みんなお昼の外遊びで、元気よく走り回って いるのに、その子だけはいつも先生がそばについて「さあ、はやくたべましょうね」と、せかさないと終わりま せん。

懇談会で、先生から「剛君はとても元気のあるお子さんですが、お弁当を食べるのがいつも遅くてね」と、 言われました。そこでお母さんは、家ではやく食べる練習をさせようとするのですが、いやがって席をたって しまいます。相談を受けたカウンセラーは次のように話をしました。

「『はやく食べなさい』と言うのは簡単です。でも子どもといえど、自分のペースをもっています。これを崩 されると動けなくなる子がいます。度重なるとだんだん自分に自信がもてなくなったり、引っ込み思案になった りする子どももいます。それよりお母さん、おかずに剛君の好物ばかりを入れてあげてはどうですか?」

大成功でした。剛君はお弁当を開けると、大好きな卵焼きと色とりどりのかまぼこが。きらいなほうれん草も入っていません。噛むのに時間のかかるごぼうもないし。剛君が、びっくりするくらいはやくお弁当を食べ終え ることができるようになったのは、言うまでもありません。

『動作がのろい・ぐず』(別冊PHPより)

動作がのろいのは生まれつきの気質だろうと思われます。ですから、お母さんもそれを変えようとせずに、 その気質のよさを生かすということを、子育ての柱においてほしいですね。

のろいといっても、子ども自身はゆっくりやって満足していたり、ゆっくりやったおかげでキチンとできたとか、好結果が多いはずです。しかも繰り返し繰り返しやっているうちに、案外早くなるということもありますので、好きなだけゆっくりさせる育て方が、子どもものびのびして,結果的に「意欲的な子」「受け身じゃない 子」が育つことになります。

ただ、世の中の流れが速くて、なかなか子どもを待ってくれません。幼稚園や学校でせかす先生が担任になって、パニックになることもあるでしょう。

そういう事態に対応するするために、親が「はやくしなさい」とせかして教えてやるやり方もありますが、 はやくしないと自分が損をすることを体験させることも効果があります。たとえば映画を観に行くとき、本人のペースで支度をしていたら、遅れて観られないという体験をすることで、今度ははやくしようと意識したり、 自己修正ができたりする場合もあります。

思春期以降は、とくに「ゆっくりしてもいいけれど,結果は自分が負うんだよ」と、自己責任を自覚 させます。

動作ののろい子でも、自分の好きなこと、やる気がわいたことに対しては、すばやい行動を取れますが、 それを「勝ってなやつだ」とは思わず、意欲のあるときははやく動けるのだと理解して、生かす方向へ導いて あげてほしいと思います。

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