初回面接でのトラブル

娘さんの非行のご相談でお母さんが来られました。「事前相談」では娘さんのこれまでの具体的な非行状況、現在の親子関係や家庭環境、それにお母さんの心境や先行きの不安などについて細かくお教えいただきました。ひと通りお聞きしたカウンセラーは娘さんについて「おそらくこんなタイプの子だろう」と、お母さんからのお話から浮かんできた本人像をお知らせしました。その後「当センターのとっている解決方法」「解決のためにやっていただくこと(課題)」「解決予測」などについてご説明しました。お母さんはメモこそ取っておられませんでしたが、カウンセラーの話には十分納得され、初回面接の予約についてはしっかり検討した上でお電話いただくことになりました。

事前相談から約三週間が経過し、初回面接の日を迎えました。「切迫感が強そうなわりには事前相談からの間隔があいたなー」と、ふとそんなことが気になりながらお約束の時間を待ちました。初回面接はある意味「解決に向けて今日からお互いに頑張りましょう」という決意表明の日です。ところが、約束の時間になってもなかなか来所されません。カウンセラーの緊張感も次第に薄れてかけてきた15分後、ようやく来所されました。ところがそこにはお母さんだけでなく、明らかに娘さんだと思われる子が一緒でした。「最初は情報収集を中心にするためにお母さんだけでスタートしましょうと言ってたのに・・」と、二つ目の段取りが狂いカウンセラーも少々慌てました。しかし、時間にも限りがあるため、とりあえずすぐにカウンセリングをスタートしようと、入室しました。ところが・・・、カウンセラーの入室を待ちかねているはずのお母さんが携帯電話で誰かと話しているではありませんか。強引にとめることもできず、カウンセラーは一時退室したり面接室の中で前回のカルテに目を通したりして時間をつぶしました。10分がたったでしょうか。ようやく電話を切ったお母さんは一言謝りの言葉を言われ、早々に娘さんのことを語り始めようとしました。

たまりかねたカウンセラーは、本日の遅刻の理由、本人を連れてきた理由、電話をかけた理由などを問いました。お母さんはあくまで「やむを得ない」という感じで、悪びれた感じはほとんど伝わってきませんでした。「これは信頼関係を築くのは難しいかもしれないなー」と不安をいだきつつ、カウンセラーは課題の提示を求めました。ところが、お母さんは課題のことなどすっかり頭になく、当然こなしてきていませんでした。さらに追い打ちをかけるように、「それがなくてもいいじゃないですか」と、カウンセリングのスタートを求めたのです。普段は怒りをあらわにしないカウンセラーですが、この時ばかりは我慢できませんでした。「私どもはお母さんが私どものやり方に納得されたという前提でお引き受けしてるんです。どうなんですか!」。これに対してお母さんはひるむことなく、ひとしきり言いたいことを言い、「帰ります!」と言って席を立ちました。待合室で待っておられた娘さんは、血相をかえて出てきたお母さんにさぞ驚いたことでしょう。娘さんには本当に申し訳ないことをしました。

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