摂食障害(過食症・拒食症)に関する本を、淀屋橋心理療法センターより出版しています。みなさまのご参考になればと、一冊づつ内容についてご紹介していきたいと思います。
1.『克服できる過食症・拒食症』――こじれて長期化した過食症・拒食症でも治る道はある
*星和書店(2005年)
*福田俊一(所長、精神科医)増井昌美(過食症専門セラピスト)著
「あきらめたらあかん!過食症・拒食症にかかったことは、自分の本質に気づき、能力を伸ばすチャンス!」
あくまで前向きに、本人の可能性や家族の力を信頼し、治療を進めていくセラピストたち。「両親のみでも治療をスタートできる」という画期的な治療を行い、重症化した数多くの患者を快方へと向かわせている。新たな治療の可能性を示した、本人、家族、治療関係者必読の書。(本書の帯より)
- 第一章 あきらめたらあかん、こんな私でも治るんや!
- 第二章 過食症・拒食症と家族の関係
- 第三章 「それでも治らない!」過食衝動との闘い
- 第四章 立ち直りの工夫と良くなるきざし
- 第五章 過食症・拒食症から立ち直った淀屋橋心理療法センターの卒業生
- 第六章 これからの過食症・拒食症の治療
- 巻末 「過食症が改善してきたかを確認するチェックシート」
1. 十年以上にわたる拒食症でも治る
2. がんこな拒食症から立ち直る(25歳、拒食症歴10年)
3. 拒食症から脱出する道に向かって
1. からみあう家族が症状に影響を
2. 症例にみる親子のからみあい(25歳、過食症歴8年)
3. 親は立ち直りの最大の協力者
4. 子ども自身の成長をうながす
治りにくいタイプ1:「どうせまた元通りや」と、あきらめてしまう
治りにくいタイプ2: ストレス耐性が弱く、すぐ過食に逃げ込んでしまう
治りにくいタイプ3: 良い子をめいっぱいやって、また息切れが
治りにくいタイプ4: なかなかはずせない良い子仮面
治りにくいタイプ5: 母と娘の信頼関係が崩れやすいと
治りにくいタイプ6: 良くなるとすぐ一人暮らしをしたいと言う
治りにくいタイプ7: できないことをすぐ過食のせいにする
治りにくいタイプ8: 「過食は人生の汚点、悪」という考えにとりつかれている
1. 過食症でのよくなる工夫やきざし(初期から回復期にいたるまで)
2. 拒食症での良くなる工夫やきざし( 〃 )
1. 成人式を迎えて、振り袖姿でほほえむ悦子(17歳、拒食歴1年)
2. 司法試験突破をめざして受験勉強中(30歳、過食歴15年)
3. 過食症と不登校に苦しんだ5年間を乗りこえて、無事高校を卒業(16歳、過食歴2年)
4. 暑中見舞いのなかで近況をきいてみて(25歳、拒食歴5年)
5. 最後に「食事の習慣を取り戻したい」と入院(23歳、過食歴7年)
6. “大学に合格”の便りと写真が送られてきた(13歳、過食歴1年)
7. 九年間の過食症を克服し、OLとしてスタート(27歳、過食歴8年)
8. アメリカの学校で日本舞踊を教えて活躍(26歳、過食歴5年)
執筆後の感想
福田:摂食障害(過食症・拒食症)は、我々の考えでは治る病気です。ただ治し方には工夫が必要であり。家族や本人が努力しなければいけない点と努力してはいけない点があります。それとともに治療のじゃまをしてくる要因もいろいろあります。そういう点も含め、お知らせしたいと思って書いたのが本書です
増井:こんな重症の摂食障害(過食症・拒食症)の人でも治っていただけるんだ!という驚きと喜びがありました。この治療(セラピー)体験を、もっと多くの方たちに知ってもらいたいと思ったのが、本書を書く動機でした。出版されて三年ですが、たくさんの摂食障害の方やご家族のみなさんが読んでくださっています。また本書をきっかけに当センターに来所され、治療セラピーを受けて治っていかれ方も少なくありません。摂食障害に悩む多くの方たちのお役にたて、たいへん嬉しく思っています。