社会から「隠れてしまっている子」

A男(不登校、引きこもり、高一)ケースをみて感じたこと。

5年以上も不登校を続けているA男の母親が来所した。5年もの間状況を知っていながら手を打たないとは、よほど子供に無関心で無責任な親かと思っていた。が、受付での対応や、話し方などを見ると、まったく普通である。

その背景に何があるのか考えてみた。何年も不登校児として過ごし最初は困惑していた親も、長引くにつれその状況が当たり前になってくる。現在は在宅学習も社会的に認知され、かつては不登校として過ごしても今は立派に社会人として活躍している人も多い。

小中学校の卒業式に必ず一人や二人「名前だけの卒業生」がいる。一度も顔をみたことが無く聞き覚えのない名前を教師が読み上げる。その時一瞬キョロキョロやざわめきが起き、一瞬その子がクローズアップされる。が、しばらくすると又忘れられていく。このように一度も学校に来ることなく卒業していく子、学校から隠れてしまったところで生活している子がきっとたくさんいるに違いない。

A男君もきっとその一人だったんだろう。当初は親、教師等があらゆる手を尽くし子供を学校に駆り立てたかもしれないが、時間の経過につれその状況のほうが当たり前になり、子供は家にいて自分なりの生活をし、親は仕事、家事、に追われる日常生活に戻っていったと思う。

このケースは祖父母が「何とかしたい」という思いをずっと抱いていた為、今回淀屋橋に来所されるに至ったが、こういう人が存在しない限り、子供は不登校のまま成人するんだと思う。それも一つの生き方ではあるが、淀屋橋に来ることによって別の人生を歩める可能性も大いにある。また、親が「これでいいや」と思ってしまえばそれまでだが、淀屋橋で対応の方法を学び接し方を変えることによって本人の意欲も出てくる。

社会から「隠れてしまっている子」に何とかスポットライトを当てたい。諦めてしまっている親に希望を持って子供にぶつかってもらえるアプローチはないものだろうか。A男君のケースを知って、しみじみと考えさせられた。

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