子と父親の「橋渡し役」も母親の大事な役割

「良夫とお父さん、仲が悪くてね。寄るとけんかせーへんかとひやひやします」。中学二年になる良夫君は、少し遅れ気味の第二反抗期。ゲームが楽しくて仕方のない良夫君と「もうええかげんにせーや」というお父さんのあいだで、昨日もこんな場面がありました。

良夫:僕のやってるんはな、ドリームキャストやから、無線はあかんの知ってるやろ。

母親:へー、そうなん。みんなどなしてる?

良夫:みんなは使いたい放題や。うちもはよしてーや。

母親:お父さんに聞いてみんと。お母さんではわからへん。(そこへ父親が入ってくる)

母親:良夫、お父さんにさっきのこと聞いてみたらどうや。

良夫:おとうさん、こないだ僕がゆうてたドリームキャストのことなんやけど。

父親:え、なんのこと?ゲームのことか。まだそんなことゆうとんのか。もう中学二年やで。

良夫:NTTに頼んでみよ、ゆうてたやんか。まだなんか?

父親:あー、わかった。わかった。(部屋を出ていく)

良夫:聞いたか?わかった、ゆうてるけど、なんもわかってへん。僕の言うことなんも聞かんと、わかったやなんて。なんにも理解しようとしてくれへん。そのくせ自分ではなんでもわかったつもりになってるんや。(良夫はそばにあった本を思いっきりお父さんの出ていったドアめがけてぶつけた)

良夫君とお父さんの不協和音が聞こえてきます。ひょっとして良夫君はこのままいくと「家庭内暴力」にならないかと心配です。こうならないために母親としてできることはないでしょうか?それは二人の「橋渡し役」お母さんがすることです。

「じゃ、どんなことをしたらいいんでしょうか?」と、良夫君のお母さんは尋ねました。一番やりやすいのは、前もって少しづつでも父親に良夫君のことを伝えておくことです。実例をあげてみましょう。

  • 「お父さん、あのね、今日良夫ね、学校で先生にほめてもらったんやて。廊下のゴミひろたとかで」
  • 「きょうね、良夫ね、自分から起きて部屋掃除してたわ。びっくりした」
  • 「『ゲームも面白いけど、宿題もちゃんとせなあかんな』ゆうてたので、「そうやな、中学二年やもんな」と、ゆうときました」
  • 「ドリーム・キャストは無線があかんとか、ゆうてますけど、お父さんメカ強いからわからはります?またみてやってくださいね」
  • 「きょうね、貴子(妹)に自分のケーキわけてやってましたわ。いつも横取りするのに。お兄ちゃんになってきたんやな、思いますわ」

例をあげてみるとこうなります。お気づきですか?本来のテーマ「ゲームと無線」に関することばかりではありませんね。「日常の生活のなかでおきたさまざまなことを、さりげなく父親の耳にいれておくこと」、これが母親の「橋渡し役」ということなのです。「なんだそんなことか」と思われるかもしれませんが、これがいざというとき、父親と息子の意志疎通にとても大きな力を発揮するのですよ。

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