介護福祉士(24才男)3:ストレスサインのチェックリストをつかって

「職場のストレス・マネジメント」(メディカ出版)*という本を、母親が図書館でみつけた。息子の雄一が「うつ」と診断され職場を休職することになったのだ。

「母親としてどうしてやったらいいんやろ。もう大人やし、あれこれこまかくいうのもなんやし」と、母親はとほうにくれていた。近くの図書館で「職場のストレス」という索引をひいたりして出会ったのがこの本だった。

職場のストレス・チェックリストはできますか?

うつ症状に悩まされる雄一は、その後のカウンセリングに一度も休まず参加するようになった。「どんな話しをしても聞いてもらえる。なんかほっとするんや。行きたい」と、すすんでやってくる。両親とも「心配やから、わたしらもいっしょにきます」と、いつも家族三人の面接になった。

カウンセラーは一枚のチェックリストを雄一に示した。「これは『働く男性のストレス度をはかるチェックリスト』です。淀屋橋心理療法センターで治療した方たちの事例をもとに作成しました。これをいちどやってみていただけますか。『僕はこいういうことに、ストレスを感じるんだな』とか、『これが僕のストレスの初期サインだな』なんかがわかります」と説明を加えた。手渡しながら「しんどくはないですか?おできになりますか?」聞いてみた。「はい、えー、だいじょうぶです。最近、わりと眠れるようになってるし」と、雄一はチェックリストをうけとった。

「それではご両親は、待合い室でお待ちいただけますか」と案内しながら、カウンセラーは「雄一君ははじめのころに比べると、ずいぶんリラックスしてきたな」と、つぶやいていた。(下記にあるのは、雄一がやってみたチェックリストです。参考までに載せてみました。)

働く男性のストレス度をはかるチェックリスト

生活の変化を余儀なくされるサラリーマンはストレスがいっぱい。転勤、異動、リストラ、残業、定年といった、ストレスワードがならびます。ストレスは人によって表れ方がちがいます。だいじなのは自分の初期サインを知っておくこと。さあ、チェックリストであなたのストレス度と初期サインをキャッチしましょう。

(このリストは淀屋橋心理療法センターのメンタル・ヘルス研究所が作成したものです。) (年齢:  職種:  )参考のためご記入ください。

ときどきめまいを感じることがある。

耳なりがすることがある。

肩がよくこるようになった。

なかなか疲れがとれない。

胃の調子が悪く、胃薬をのんでいる。

便秘または下痢を繰り返している。

もやがかかったようで、頭がスッキリしない。

疲労回復のドリンク剤をのんでいる。

休日、家族とでかけるのがおっくうである。

手のひらや脇の下に汗が出ることが多い。

ささいなことで怒りっぽくなる。

胸がきりきりと締めつけられるような感じがする。

よく風邪をひき、なかなか治らない。

朝起きると体がだるく、疲れが残っている。

仕事に対してやる気がわかない。

寝付きがわるく、夜中に何度も目を覚ます。

仕事から帰ると、すぐごろっと横になる。

ときどき動悸をうつことがある。

手足が冷たいことが多い。

休日、テレビの前でゴロゴロしている時間が長い。

血圧が上がったような気がすることがある。

舌がしろっぽくなっていることが多い。

他人の欠点ばかりが目につき、いらいらする。

以前にくらべると、疲れやすくなった。

最近食欲がなく、体重が減っている。

ときどき鼻づまりやくしゃみに悩まされる。

夢をみることがよくある。

ついくどくどと、上司のぐちをこぼしてしまう。

最近会社に遅刻しがちである。

「こんなことがストレスサインなんか、もっと早く知りたかったな」

「働く男性のストレス度をはかるチェックリスト」をやってみた雄一は、意外にもあかるい表情で座っていた。「雄一君、チェックリストをやってみた感想はどうですか」、とカウンセラーは聞いてみた。点数を計算すると、かなりストレス度は高い点数になっている。「こんなことがストレスサインになるんですか?気がつかなかったなー」と、なにか思い当たるような口振りで話す。「もっと早くやってみたかったな。思い当たる項目がいっぱいあって。うーん、これがストレスサインなんですね」と、目をつぶって感慨深げな感じである。

たしかに項目の一つ一つはそれほどたいしたことはないかもしれない。しかしこれが重なってくると、だんだん心身の負担になってくる。「ストレスはしのびよる」と言われているが、確かに知らず知らずのうちにストレス度は高くなっていくようだ。

まじめで、仕事熱心な人がかかりやすい

「まじめで、仕事熱心で、がんばりやさんで。ちょっと融通のきかない人ほど、職場でのストレスを感じやすいんです。それがこうじてうつになったり。『こんなに仕事してんのに、なんでや』とか『なんやあいつ、さぼったりして許せんな』とか思ったことはありませんか?」「はー、よくあります。はらたって、なぐったろか思うことも」と、苦笑いしながら雄一は答えた。「見かけによらず、えらい激しいとこがあるんですね」と、カウンセラーもつられて笑った。深刻な内容にもかかわらず、思わぬ雄一の本音発言でふんいきがなごんだ。

そばで二人の話し聞いていた両親はびっくりしたようにこう言った。「先生、雄一がえらい変わってきましたわ。あのこが笑ってるなんて、わたしら見るの、ほんまに久しぶりです。苦しそうな顔つきばっかりみてきましたんで、なんか私らも救われますわ」と。

介護福祉士(24才男)3:ストレスサインのチェックリストをつかって。

*「職場のストレス・マネジメント」(1989年、メディカ出版)福田俊一、増井昌美著

淀屋橋心理療法センターより刊行された本ですが、今は絶版になっています。

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