過食症:「本人ぬきでも治せる」って本当ですか?

過食症はたいへん難しい症状ですが–

過食症、拒食症の患者さんが増えています。とくに過食症が目立ちます。はたして本人ぬきでこの症状が治せるのでしょうか? 私たち専門家も、信じられない思いで治療をスタートしました。20年近くにわたる経験のなかで四苦八苦しながらも、本人ぬきで改善にむかった症例をみることができました。そのポイントのいくつかをお話しましょう。

1.過食症が本人ぬき(親ごさんだけの参加)でも治ることはあります。しかし時間がかかることを覚悟してください。

2.母親と本人のの信頼関係を築くアドバイスを積み重ねます。

●ダイエットから本症にかかる子どもが多いのが特徴です。「やせたい。やせてスマートなきれいな体になりたい」といった気持ちがダイエットの動機となります。こうした過食症の根本となる子どもの気持ちを理解しましょう。またなぜ」ダイエットから過食症に陥るのか、その「わけ」もわかりやすく説明します。

●「親には言いにくい。親に心配かけたくない」過食症にかかる子どもは、こんな親思いの気持ちでいっぱいです。まずそれをわかってあげましょう。

●追いつめられ傷ついた子どもの心と身体思春期の自我が芽生える頃、また異性への関心が高まる頃。それだけにどうしても親には素直に言えません。隠れて自室でこっそり食べたりしますが、吐いた後のしんどさや、経済的に追いつめられて、やっとの思いで打ち明けるケースが多くみられます。打ち明けられたときは、親の意見や疑問は後回しにして、しっかりと耳を傾けて聞いてあげましょう。

●打ち明けたあとの母親の対応は重要です。「ああ、やっぱりお母さんに話してよかった」と思うか「もういや、お母さんてなんもわかってくれない。話さなければよかった」となるか。これから良くなるか、ますます過食がひどくなるか、ここは大きな分かれ道。専門家はこの点についてしっかりと、対応のアドバイスを細かく具体的に指導していきます。またお母さんからの質問が多いのもこの時です。一つ一つていねいにお答えしていきます。

●甘えてきたとき、愚痴をこぼしたときがチャンスお母さんの多くは勘違いして「まあ、まだ小さな子どもみたいに甘えてる。もっとしっかりさせなくては」と、思って厳しくしたりしてしまいます。これは逆効果。こんな時こそしっかりと暖かく包んであげましょう。お母さんに対する警戒心が解け安心感がわいてきます。甘えられたり愚痴のいえる親子関係は過食からの治癒のエネルギー源となります。

●つらさの共感「お母さんだけは、わかってくれてる」これが子どもの命綱過食症はつらい。かかった人にしかわからないつらさがあります。身体も痛めるし、心もぼろぼろになります。それだけにこの命綱を手放さないようにしなくてはなりません。なにげない母親の一言で傷ついて心を閉ざしがちの過食の子です。注意深くアドバイスをだしていきます。

3.母親との雑談から本人にいろんな「力」をつけていく

過食症にかかる子は、本質的には「主導権」をとりたがります。またそうすることで自分の良さをぐんぐん伸ばしていけるタイプが多いですね。いろんな場面で主導権をとろうとすると、「力」(能力)が必要です。どうすればその力をつけてやれるか。それは母親との日常会話からつけるのが一番近道です。毎日の会話の記録を母親につけてもらい、それにもとづいてアドバイスを出していきます。「具体的でわかりやすい。また実行しやすい」と、多くのお母さんが言われています。


その他、本人の治癒の段階に応じて対応のアドバイスをだしていきます。父親の協力が必要と判断したら、参加をお願いすることもあります。

こうして小さな成果の積み重ねの結果、過食症から立ち直り、元気に活躍している子どもさんもおられます。あきらめずにご相談ください。

また当センターから出している摂食障害の本があります。治療の仕方もわかりやすく書いてありますので参考にしてください。

*「過食・拒食の家族療法」(ミネルヴァ書房)

*「過食症と拒食症」危機脱出の処方箋(星和書店)

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