家庭内暴力:本人ぬきで治療をスタートし、大きな前進、解決にむかっているケース

「本人をつれていかなくてもいいんでしょうか」「なぜ本人ぬきでも治るんですか」

こうしたお問い合わせに実例をご紹介しながらお答えしましょう。次にあげた症例は当センターで、両親または母親(父親)一方のみの来所で面接治療をスタートし、改善に向かっているか、または解決をみたケースばかりです。

1. 孝史君(家庭内暴力、不登校 高校一年)

来所時

  • 父親への反抗心が強く、週に3ー4回は荒れていた。
  • 家の中のものを壊したり倒したりで手の付けようがない。
  • 父親も身の危険を感じ、近くのアパートから通勤。

治療開始後3ヶ月

  • 家庭内暴力は週一回ほどにおちつく。
  • 父親も自宅から通勤できるようになる。
  • しかし登校はできず。

治療のポイント

『よそで俺のことをしゃべったら、ぶっころすぞ』という孝史君の言葉で、ご両親は内緒で来所。母親には家での会話を記録してもらい、面接前に送ってもらう。その記録からセラピストは孝史君の荒れるパターンを見つけだした。「荒れる引き金になるキーワードを極力使わないよう」に、両親にアドバイス。孝史君の神経が逆撫でされる回数を減らした。同時に孝史君が興味をもっている野球やサッカーに、父親も関心を寄せる工夫を考えてもらう。最初は反発していたが、二月ほどたったころ、父親がもらってきた(本当は買ってきた)野球の切符をみて「俺、いこうかな」とぽつんと一言。次の日曜日、父親の運転する車で家族そろって野球見物にでかける。これをきっかけに父親への暴力はおさまり、父親も自宅へもどることができた。

現在はこんな様子

来所してから一年が経過している。あれだけひどい家庭内暴力を示し、父親への拒否感をあらわにしていた孝史くんだが、今はまったく暴力暴言はみられない。「車の免許をとるんだ」と、父親の指導のもと練習をつんでいる。「俺、大検うけようかな」と、勉強にも意欲を見せ始めている。高校中退という結果にはなったが、単位制の高校もあると希望は捨てていない。

母親の言葉

「こんな日がくるなんて信じられませんでした。あの子が父親とけんか腰でなく話せるなんて。きちんと社会へ自分の足で立てるまで二人で支えていってやるつもりです。あきらめずに通い続けてよかったと思います」

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