家族ぐるみの治療をめざして2

まずは、子どもに向かって「君ね、このあいだ言ってたけど、あれはすごく大事なことのようやな。お父さんに言いたい気もちあったな。あれ、ここでちょっと話してみないか」と水を向けます。私の希望としては、ここで勇気をだして普段言えなかったことを言ってほしい。これだけ大きなトラブル、入院というような事態になったんだから、やっぱりそれぐらいの勇気をもってほしいという気もちなんです。実際に子どもは勇気を持ち始めていました。だからこそ普段あまり誰にも語らなかったことを、治療者の私に話すというようなことができてきたわけです。

ところが、いざお父さんの前へ行きますと、子どもの態度がガラッと変わるんです。私と話している時は、割と素直に話してくれてたのですが、いざお父さんに向かうと急に緊張して黙りこくってしまったり、あるいは急に挑戦的なポーズをとったり、態度がガラッと変わるんです。「あれっ」とびっくりしました。しかし、ここで負けてはいけないと思い、人生の一大事ここで一勝負してみろという感じで「君、ここで言わんかったり一生お父さんにわかってもらえないぞ」と、子どもを少しプッシュしました。そうすると、グズグズはするものの、子どもは一大決心をしたかのように思い切ってお父さんにこう言いました。「お父ちゃん、あんなー、前から言おうと思とったんやけどな、こんなんわかってたか・・」・・、お父さんに自分の気もちをポツポツとしゃべり始め、終わったかと思うとワーッと泣き出しました。「やったー、これはすばらしいドラマだ!」、私はすっかり陶酔してしまいました。「これをきっかけにきっとこの家族はうまくいくに違いない」と思っておりますと、今度はお父さんの方がぽかーんとした表情で「先生、まだ息子の病気、悪いようですね。なんとかなりませんか」と言われ、ガックリきてしまいました。「これは難しい。家族というものは難しいなー」と思い始めたのが、家族ぐるみの治療をめざすきっかけになったんです。

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