5.食べ物への「こだわり」が強くて。カロリーやグラムにも「こだわり」が。みそ汁の具で母親と大げんかになった恵子さん。

過食症の人のほとんどが食べ物のもつカロリーや重さ(グラム)にこだわります。お腹が減って食べ物を前にしても「食べたい、いや太るからだめ」と、こんなせめぎ合いがぐるぐると頭の中を駆けめぐっています。「太る=醜い、やせる=美しい」といった価値観へのこだわりは、超ガンコ!だから食べ物のカロリーや量、重さ(グラム)などに強くこだわるのです。この点で母親とけんかになることもしばしばです。

みそ汁の具材が「大根から新ジャガ」に変わって、母親と大げんかに

恵子さんは毎朝みそ汁を食べることにしていました。中に入れる具材への注文もまえの晩に細かくお母さんに指示をだします。「あすの朝はわかめと大根はいいよ。でも油揚げとさつまいもはやめてね」。「わかってるよ。サツマイモは太るからダメなんでしょ。わかってるよ」と、お母さんは答えます。「わかってるよ」を二度繰り返したお母さんの返事を聞いて、恵子さんはやっと安心。これで眠りにつけます。

明くる朝のこと食卓についた恵子さんは驚きました。みそ汁の具材が変わっているのです。「なにこれ?!あんだけ頼んどいたのに。お母さーん、どうしたの今朝のみそ汁?」と半ばパニックになって叫びました。「ああ、大根がね、あれ古かったのよ。きのう新ジャガ買ってきたからそれ入れといたわ」と、お母さんは何気なく言いました。

それを聞いた恵子さんは、パニックに。「なに言ってるのよー、あれは昨日私が重さ計って、カロリーをチェックしておいた大根なのよ。朝の朝食にっておいといたの。あの大根でないとダメなのよ!」と泣き叫びます。お母さんはなんとかなだめようと必死になりました。「ジャガイモだって新鮮だしきっとおいしいよ」「いいや、だめ。あの大根でないと私は食べられないの。あれを返してよ!」としつこく恵子さんは叫びました。お母さんは腹がたって言ってはいけないとわかってる言葉を、つい言ってしまいました。「どうせ吐くんでしょ、だったら同じことじゃない!」。

食べる量・カロリー・グラム数など細かく決めて

「食べたいけれど、太りたくない」ので、過食症の人は食材の持つカロリーやグラム数に細かくこだわりを持っています。朝食で摂っていいカロリーは○○カロリーと決めています。だから食べていい大根の重さもカロリーも決まっており、極端に言えばそれを1グラムでも超えても少なくてもダメなのです。

そんな厳しいこだわりを自分に課して、やっと食事ができるという人もいます。過食症で体重へのこだわりがまだかなり強い人によく見られる状態と言えるでしょう。

自分でもわかってる「こだわりのバカさ加減」

お母さんから投げかけられたあの一言、「どうせ吐くんでしょ、だったら同じことじゃない!」。恵子はこの言葉に深く傷つきました。「ひどい、おかあさんたら。私がカロリーにこだわってるの知っててあんなこと言うなんて」。

でも恵子自身もわかっているのです。毎日娘の注文に合うように、食材をそろえてくれてるお母さんのたいへんさを。費用だっていっぱいかかってるのに、文句を言わないでいてくれることを。

恵子自身も「こんなに食材こだわっててどうするの。自分でもそのバカさかげんでいやになってるの。でもやめられなくて、つらい!」と言います。「お母さんゴメンね。私には自分に許してる食べ物とカロリーがあるの。それは守らないとダメ。絶対に守らないとダメなの」と、恵子はつぶやきました。

過食症の人の食材へのこだわりについてその言い分を聞いてみると、「自分のからだを守っているの。なによりも大事な『私の生き甲斐=やせること』を大事にしているの」という答えが返ってきました。

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