3.外で食事をするのがしんどい:「誘われても断ってしまうの。お食事会なんて苦しくてダメ。友人がだんだん減ってきたわ」

【摂食障害の人は、外で食事をするのがしんどくて】

過食症の人は「外で食事をするのがしんどくてたまらない」と言う人が多くいます。いろんな理由があってそうなるのですが、だんだん人とのおつき合いもおっくうになり人間関係を避けるようになります。本人は望んでいないのに友だちとの関係も疎遠になってきて孤立してしまう人が多いようです。

ここでは過食症にかかった人のしんどい言葉を中心にとりあげました。親ごさんや友人の方などが少しでも理解していただける一助になればと思って書きました。

「みんなとー緒に外で食事ができたらどんなにいいだろう」

過食症の人は、大体において外で食事をすることがとても苦痛です。家族とでも外では食べられず、一人居残るということはよくあります。

先日来所した女性クライアント(25才)の例ですが、姉の婚約パーティを焼き肉屋さんですることになりました。「マー君(フィアンセ)も参加するからぜひ来てね。家族を紹介したいの」と姉に言われて、プレッシャーがかかります。過食症に悩む妹は重い心と足を引きずって焼き肉屋さんへ向かいましたが、1時間遅刻になってしまいました。「なんでそんな勝手なことをするんだ」と、父親に叱られたというつらい体験を語ってくれました。

「何度説明しても私のつらさわかってもらえない。もういいや!」と半ば投げ出してしまっている人もいます。

「周りの人たちを優先させて、自分の食べたいメニューが言えなくなるの」

大学三年生の真知子もその一人です。授業が終わるとランチの時間「今日は何食べる?私、スパゲッティがいいな」と、いつものようにリーダー格の摩耶が言い出します。真知子が「えーと、なにがいいかな」と考えていると、そばから景子が「私もスパゲッティにしようかな」「私も、私も」と、グループの雰囲気がスパゲッティにしようということになりました。「真知子もそれでいいよね」と聞かれたのですが、「昨日の夜ねスパゲッティだったんよ。だから他のものがいいんだけど」と、ほんとうは言いたいのです。でもそれを言うとせっかくまとまりかけているのに、みんなにいやな思いをさせてしまうかもしれない。ますます言えない雰囲気になっています。「うん、私もそれでいいよ」と、合わせる返事を言って決まりました。

みんなはOK、でも真知子はもやもや。「なんで私だけいつもこんなに合わせてばっかりなんだろう」と真知子はイライラしてきます。「でもこんな気持ち過食症でない人に言っても、わかってもらえないだろう」と、真知子は自分の本心を抑え込んでしまいます。場合はちがっても、なぜか真知子はこんな状況になることが多いようです。

「メニュー決めるのに時間がかかるの」

「どれにしようかな?これはお肉が入ってるからカロリー高そう。こっちは甘い味付けだから太ってしまうからダメ。あーあ、どれにしたらいいんだろう」迷ってしまって、自分で決めようとすると時間がかかります。

「ほんとうはこのわかめスープくらいが一番いいんだけど。もし私がこれ注文したら、他の人たちはなんていうだろう。「え、わかめスープ!?なんでー」「ダイエツトしてるの?」。頭のなかは友だちや家族の声がぐるぐると回りだします。

こんなふうにみんなと食事をすると迷って決められません。「早く決めてよ」というせかす声もしんどいし「みんないいなあ、どうしてあんなにスンナリ決められるんだろう」と、いつも落ち込んでしまいます。

「食べだしたら止まらなくなるんじゃないか」と心配で

過食症の人はいつも食べることが気になっています。食べ物が四六時中ぐるぐると頭の中をまわっていて、それだけでもぐったりするくらい疲れています。「食べ過ぎないように、食べたら太るよ」と、自分に言い聞かせながら食べ物を見ないよう買わないよう気をつけています。それでも食べたい衝動に負けてしまって、食物を買いにコンビニやマーケットに走ります。

いざ食べ物を前にして「いただきまーす」という状況になると、こんどは「食べだしたら止まらなくなるんじゃないか」と、不安で不安で一口でも食べることができなくなることがよくあります。「あら、どうして食べないの?」「これあなたの好物でしょ。はいどうぞ」という好意的な言葉がけの一つ一つが肩にずっしりと重くのしかかるようです。

こんなに迷っていてもいざ食べ出すとブレーキが効かなくなり、びっくりするくらい多く食べてしまいます。「あーあ、またこんなに食べてしまった。早く吐かないと太る。太るのいやだー!」と、トイレに駆け込んで。「こんな姿を他の人たちに見られるくらいなら、はじめっから食べないでおこう」と、我慢する人もいます。

「他の人の目が気になって食べられないの」

バイキングなんかは、自分の好きなだけとって食べられるので過食症の人がよく行くスタイルのレストランです。でもやはり人の目が気になって、なかなかのびのびとは食べられません。

「あの人のお皿にのってる量みて。3人前くらいあるんじゃない」つて、思われていないだろうか。」「がつがつとかぶりつくような食べ方になってたらどうしよう」と、食べ方が気になってお箸が進まない人もいます。またそんなこといちいち気にしている自分がみじめになってしまって、落ち込んでしまうようです。

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