3.「夢中になれるもの見つけよう!」

「どうすれば過食症から抜け出せるの?」この切実な訴えに果たして答えはあるだろうか?確実にとは言えないまでもかなりの確率で脱出できることがある。それは「夢中になるものを見つけよう!」である。これまで実際に経験した事例をいくつかかいつまんで紹介しよう。

● 彼女は過食症歴8年で、30才。今までインターネットは見るだけだった。それが一念発起して自分のホームページをたち上げた。軌道にのりだすと、毎日夢中で取り組み出した。送ってくるわ、送ってくるわ。自分で書いた記事を「先生も読んでね」とメイルで送ってくる。内容がだんだん生き生きしてきた。そこから書き込み欄に書いてくれた人たちとの交流が広がりだした。先日カウンセリングにきたとき「過食してるヒマがないくらい楽しくて」と言う。あれだけ過食嘔吐が止められなくて、すったもんだした8年間はうそのようであった。おまけの結論を言うと、その交流で知り合った一人の人と彼女はゴールインした。

● 元ナースの27才の女性。過食嘔吐がひどくて体がもたなくなり勤めをやめた。母親も元ナースで病院の師長まで務めた人。「うちの娘はほんとになさけない」と、毎日のように過食嘔吐をめぐっ母娘の争いが絶えなかった。そこに登場したのがビーズの製作。きらきら光るビーズの美しさに魅せられて、彼女はブローチを作り出した。自分のものだけでなく母親の指輪やネックレスも作ってプレゼント。母親も「先生、これなんです。この子が作ってきてくれて」と嬉しそうに見せてくれる。「楽しくて、止められないの。夜中じゅう起きて作る日もあります」と、彼女は話す。結局このビーズの材料費を稼ぐため働き始め、社会復帰をはたすことができた。

● もともと彼女は食材に興味があった。それが高じて過食症に陥ったとも言える。3年が経過して25才になったときカウンセリングにやってきた。好きな領域を徹底的に生かす方向を押し進めた。あるレストランで管理栄養士の募集に目を留めて「私、できたらこんな仕事やってみたかった」と、一言ぽつり。そこで本人とカウンセラーの問答が始まった。「OA入試ってあるよ」「でも、ムリです。大学出てから4年もたってるし」「4年なんて短い。やれば思い出すよ」「過食症が治らないと、とても取り組めないと思います。」「好きなこと、やりたいことに思い切って向かっていかないと、過食症は治らないのよ」と、カウンセラーはかなりごり押し。それから5年、彼女は頑張った。見事管理栄養士の国家試験に合格し、今は病院に勤務している。入院患者さんの栄養指導で講師として立っている写真を送ってきてくれた。

こうした事例は他にいくつもある。脱出のきっかけは、絵手紙、お習字、ケーキづくりなど身近にある好きな物・事からスタートすることが多い。これら「好きな物・事」をとっかかりにして、本人とカウンセラーの二人三脚で「夢中になれるもの」を育てていくのである。これを見つけることが、過食症から抜けだす確実な方法であることは確か。

あなたも過食症のことを忘れるくらい夢中になれるものを、淀屋橋心理療法センターに見つけにきませんか。

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