2話:夢かなう―「こんなに元気になりました。やりたかった夢がかない、幸せです」

うれしい一通の年賀状

お正月があけて「さあ、今日から新しい年の仕事がスタートだ」と、勢いよく職場のドアをあけました。たくさんの年賀状のなかで、なつかしい名前の一通に目がとまりました。

『明けまして おめでとうございます。
先生お元気ですか。私は昨年の秋、やりたかった【子ども英語教室】を開くことができました。いっしょに英語の歌を歌ったりパズルをしたり、本当に楽しい毎日です。過食もいまはすっかり良くなり、食生活もふつうになりました。ハッピーな人生を歩んでいます。・・・』

年賀状の下のほうには、「白雪姫と七人の小びと」のコスチュームをつけた子どもたちの笑顔いっぱいの写真が。そして「魔法使いのおばあさんが私です」と、小さな字で書き加えてありました。クリスマスで英語劇を発表したようです。今から3年前に、ここ淀屋橋心理療法センターで過食症の治療をうけ、卒業していった真美さんからの年賀状でした。

10年の過食症を、治療スタートして2年で克服

真美さんが過食症にかかり来所するまでに、すでに10年が経過していました。「10年か、これは手ごわいぞ」と、気持ちが引きしまったのを思いだします。治療をスタートして2年後、真美さんは過食症を克服して巣立っていきました。カウンセリングでのいろんな場面が思いだされます。

文句もいっぱい言えるようになった

  • 「食べ物をテーブルのうえにおかないでって言ってるでしょう」
  • 「お母さん、私の部屋にかってに入ってくるのやめてよ」
  • 「こんな色のTシャツ、私いや。なんでこんなん買ってきたの」

母親との激しい舌戦がなんどかくり返されて

「お母さんはなんでもかんでも私のすることに反対して。私は自分のやりたいことをやるの。だまっといてよ」と、叫んでいた真美さん。「おとなしい良い子だったのに」と、一時お母さんも嘆かれて。でも真美さんはそんなお母さんに向かっても、やりたいことを押し通していきました。

過食症と戦いながら、自分の夢=やりたいことを追い求めていく大切さに気がついて

「あのね、夢ってもつことがだいじなんですね。夢って実現できるためにあるんですね。私の夢は子どもの英語教室を開くことなんです」と、目を輝かせて話していた真美さん。

夢の実現に向かってひたすらGo!

夢がはっきりして、その夢を実現することの大切さを過食症セラピストから話してもらい、真美さんの過食症への取り組みが積極的になってきました。過食の量や回数を減らす工夫をしたり、明日の活動にさしつかえないよう、過食を終える時間を調整したり。そしてとうとうアメリカへの短期語学留学を果たすことができました。帰国してから「子どものための英語教室」を開いたようです。

「過食症は私が夢をかなえるために必要な人生の経験だったんだなって思います」と、しめくくってある年賀状は、過食症セラピストにとってもうれしい年の幕開けでした。

(2008.01.07)

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