2.摂食障害(過食症・拒食症)は母親が小さな良い変化を認めてあげると、確実に好転(過食症歴3年 18才)

摂食障害が治る上で初期段階で大切な、本文の3つのポイント

  • 小さな良い変化を見つける
  • 摂食障害(過食症・拒食症)が治る上で大事なポイントです。母親が見逃さずしっかりと見つけてあげましょう。

  • 子の良い点を書き出す
  • 食べ吐きにとらわれて子の欠点ばかりが目につきがちです。良い点を書き出していると、どんどん出てきます。

  • 小さな言葉がけを忘れずに
  • 親子のコミュニケーションがとりにくくなってきます。言葉がけは親子の気持ちが通い合うきっかけになります。

ダイエットから過食症や拒食症にはまるケースが多い(過食症歴3年朋実18才の事例から)

摂食障害(過食症・拒食症)になる人には、「小さいころはやさしい良い子だった」と言われることがよくあります。それが思春期を迎える中学生あたりから我がではじめ、少しづつ様子がかわってきます。関心の的として女の子によくあるのがダイエットでしょう。食材のカロリーやグラム数にこだわったりしているうちに、だんだんと摂食障害(過食症・拒食症)にはまっていくことがよくあります。

朋実さん(18才)が過食症で淀屋橋心理療法センターの摂食障害専門外来に来所したのは、発症して3年が経っていました。中2のころからこだわりだしたダイエットがうまくいかず、はじめは食べられない拒食症になってしまいました。よくあることですが3ヶ月たったころから過食症に移行し、18才の現在までずーっと嘔吐をともなう過食症が続いているということです。

母親と娘のあいだには過食症をめぐる親子げんか絶えず

カウンセリング治療がスタートすると、母親からは娘の過食症を嘆く言葉が次々とでてきました。「過食をしたあとの始末をしません」「食材を買うお金を財布から黙ってもっていきます」「弟のおやつも食べたらダメよって言ってるのに、食べてしまって大げんかになります」「吐くのはやめて、って言ってるのにやめません」「トイレを長時間占領して家族みんなが迷惑しています」「吐くなと父親が怒っています」。こんなふうにお母さんの娘への批判は延々と続きそうでした。

朋実さんのような過食嘔吐の子をかかえた家族からは、多かれ少なかれこのような苦情がよく聞かれます。たしかに家族にとっては大変な騒動を引き起こす事ばかりです。この批判を横で聞いている朋実さんは、だんだん表情が険しくなってきて、母親を睨みつけていました。二人の間には親子げんかの火花が絶えない状態でした。

過食症(嘔吐)にまつわる親子げんかを止めるには「根気と辛抱」がいる

「克服できる過食症・拒食症」

こうした過食症(嘔吐)をめぐる親子げんかを減らしていくアドバイスは、それほど多くはありません。摂食障害(過食症・拒食症)をめぐる親子げんかは、長引けば親子関係が泥沼状態に陥るおそれがあります。こじれないように適切なアドバイスを受ける必要があるでしょう。

摂食障害専門外来でだすアドバイスは、親子の相性、持ち味、家族の習慣なども考慮にいれ、実行しやすいアドバイスをだします。しかし親子げんかがなくなるまでやり続けるには根気と辛抱がいります。

過食症専門セラピストは「お母さん、アドバイスに頑張ってついてこれますか?」と、念押ししました。母親は「今までいろんな医療機関や相談センターにいきましたが、娘の過食症(嘔吐)は治りませんでした。ここから出された本「克服できる過食症・拒食症」を読ませていただきました。もうここしかないと思っています。がんばって私と娘、主人もいっしょに家族三人でついていきます」と、心を決めたように言いました。

「朋実さんの小さな良い変化」を認めてあげましょう。

過食症専門セラピストは家族についていろんな角度から情報を集め、いくつかのアドバイスを練りだしました。そのうちの一番目のアドバイスを母親にだしました。「次回までに朋実さんの小さな良い変化を書き留めてきてください。できるだけ多くお願いします。少なくとも10個は見つけてきましょう」。「え、先生そんな。朋実に良い変化なんてありませんよ」と反論する母親を、セラピストはきっぱりと制しました。「必ずあります。どんな小さなことでもいいんです。お母さんが見逃しておられるだけですよ。見つけたら必ず言葉がけをしてあげてください。『ありがとう、えらいね、がんばってるね』といった言葉がけです。これが今日の課題です」と言った。

母親はセラピストの出す課題をしっかりと心に留め、がんばりました。朋実の過食嘔吐をみていると、怒りがこみあげてくることもしばしばでした。めげそうになると父親に話を聞いてもらい、課題を交代したりしてもらいながら続けました。

カウンセリング治療をスタートして3ヶ月、娘の過食嘔吐に変化が

アドバイスを実行はじめて3ヶ月がたちました。執行錯誤を繰り返し、母親の不安や疑問にもセラピストは的確に答えていきながらの3ヶ月でした。初めのうちは気がつかなかった朋実の小さな良い変化。気をつけてみていると、「あれ、これって良い変化!」と思うことがだんだん増えてきました。「きょうは寝る前に『おやすみ』って言ったな」とか「過食をしたあとの紙くず、ゴミ箱にいれていたな」といった小さなことです。朋実の過食嘔吐のようすに小さな良い変化が増えてきました。母親の地道な努力が結晶となってでてきたようです。例を三つあげてみましょう。

【小さな良い変化の例】

  1. 学校から帰ってくるとコンビニの袋を隠してこっそりと自室へ入っていった朋実ですが、「ただいま」と言うようになりました。「こんなことがなにか過食症が治ることと関係あるんですか?」と、よく聞かれるのですが「あります。これは過食症の初期段階ですが、これからの過食嘔吐に良い変化が期待できます」とお答えしています。
  2. 母親に対して不満や文句を直接ぶつけるようになってきました。母親があまったおかずをついテーブルの上においたままにすることが多いのですが、これが朋実にとっては過食症の引き金になることがよくあるというのです。「お母さん、食べ物ね、私の目に見える所におかんといてって言ってるやろ。何度いったらわかるん!」と、直接怒りをぶつけてきました。「あ、ごめんね、朋実ちゃん。気をつけるよ」と母親も答えます。
  3. 過食嘔吐をする時間帯が変わってきました。朝のトイレタイムを避けて食べ吐きするようになりました。これには家族みんなが大助かりでした。

朋実のケースでは治療をスタートしてかなり早い段階で良い変化がでてきました。母親が「良い変化をみとめ、言葉がけをする」というアドバイスを根気よく辛抱をかさね努力を続けてきた結果です。またその母親を側面から支えた父親の役割も大きかったと言えます。

「小さな良い変化」は、摂食障害(過食症・拒食症)が治る上で、特に初期段階で大切なポイントです。これはゆくゆくカウンセリング治療を成功に導く原動力となるものです。小さな良い変化を認めてあげていると、親子関係がこじれずにすみやがては摂食障害(過食症・嘔吐・拒食症)が治る大きな変化へとつながっていくのです。

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