1.母親との会話にリズムがでてきたら変化のきざし(24才 ひきこもり4年・男)

お母さんとの掛け合いがリズミカルに

健司(24才)は、ほとんど自室にこもったままで一日を過ごす。こんなひきこもり生活がもう四年になる。食事も家族とは食べない。すきなときにラーメンを作ったりしている。テレビを見たりマンガを読んだり。部屋のカーテンも閉め切ったままでいつも暗い感じだ。布団は引きっぱなし、食べた後の袋とか食べカスがばらばらと畳の上にこぼれている。なんだか話すのも気が滅入るような健司の毎日である。

父親がたまりかねて「いつまでこんな生活を送ってるんや。ええかげんに学校に行かんと、どないするんや。せっかく入った大学やのに」と言い出したのが三年前。健司は一言も返事をせず、うつむいたまま動かなかった。そのときはまだ一緒に食事はしていたし、居間でテレビもみていた。「大学このままやと、授業料だけは払い続けなあかんのやで。休学するか、退学するか、行くんか、自分でよう考えてみてな」と、母親はやさしく語りかけた。その後「大学やめとうない」と、母親に伝えたが、登校はしなかった。怒った父親は「授業料なんか払うな。ほっとけ」」と、本人の承諾なく支払いをストップしたしまった。その後退学となったのか除籍となったのか、とにかく健司は気がついたら大学での場所を失っていたのだ。それからずーと自室にカーテンを閉めて閉じこもったままである。

かなり長期にわたる重症のひきこもりケースである。いったいそのとっかかりはどこにあるのだろうか。今では父親も「私が勝手にやったのがいかんかったですな」と反省し、治療には前向きである。

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