1.発症の年齢層:摂食障害は若い女性がかかる病気ではないんですか!?

◎質問1:摂食障害の過食症・拒食症は、若い女性がかかる病気だと聞いていましたが、最近発症の低年齢化ということを新聞で読みました。最年少はどのくらいですか?(10才の娘をもつ母親より)

◆淀屋橋心理療法センターでは二年前に、小学6年生(12才)の拒食症の事例がありました。

お母さんのお話を聞いていくと、娘さんは小学3~4年生ころからおやつのケーキやアイスクリームなど甘いものをたべようとしなくなったということです。お母さんが問いただすと「クラスの男の子が私のこと『子豚のブーちゃん』といってからかうの。太ってるのいやだ。細くなりたい。甘い物食べると太るもん」と言って泣き出したそうです。「だいじょうぶよ、そんなに太ってないから」とお母さんはなだめたのですが、「いいや、私太ってる」と言って、頑として受け入れようとしませんでした。

そのあとも二年ほどそんな状態が続いていました。小学6年生になったころから食事の量が極端に少なくなり体重がどんどん減ってきました。近くの内科を受診したところ「拒食症」と診断されたということです。

当センターで11ヶ月のカウンセリングを両親とともに受け、完治しました。

◆最近立て続けに小学3年生(8才)の女子の拒食症事例が当センターに来所、これが最年少の事例です。

今まで小学5~6年生の摂食障害を治療してきましたが、3年生という幼さにさすが我々も驚きました。

身長がぐんぐん伸びだす直前でもあり、親御さんもなんとか本人の栄養状態をよくしようと必死でした。ところがうまくいかず、下がる一方の体重になすすべもありませんでした。心配のあまり拒食症専門外来のある当センターに相談に来られました。

お母さんの話によると女の子は食べ物を口に入れてガムのようにかんでいるのですが、なかなかのみこめない状態です。あるいは飲み込みたくないという気持ちが強いのかもしれません。食べ物のカロリーをよく知っていて「ヨーグルトはいいけど、アイスクリームはダメ」といって、自分で食べていい物いけない物を決めています。カロリーの高い物を意図的に避けているようです。やはり「太りたくない」という強い「やせ願望」の意識が根っこにあるようです。

このうちの一つのケースは、こじれるパターンをもっていました。「お母さんが食べてくれたら、私も食べられるよ」という要求をしてきます。お母さんとしては「娘が食べてくれるなら」と思い、「いいよ、お母さん食べるからあたなも食べてね」と、受けてしまいそうになります。しかし摂食障害において、この要求はお母さんが引き受けるとこじれる素になります。このようなことを娘さんが言い出したときには、すぐに摂食障害の専門家に相談しましょう。

この二つの小学3年生のケースは、母親のみの来所でカウンセリング治療を継続中です。

◎質問2:中年(30代40代)の世代にも増えてきていると聞きましたが?(30代ヤングママより)

以前は摂食障害というと「若い女性がかかる病気」という印象がもたれていました。じっさいに来所するクライアントさんたちは、ほとんどが10代後半~20代に摂食障害を発症した女性でした。

ところが最近は子育て中の30代40代の女性たちにも摂食障害が増えています。その年代に発症したというよりは、10代20代に発症していったん治り、結婚出産子育てを経てまた再発というケースもかなり含まれています。

◆当センターの事例ですがもうすぐ3才になる女の子がいる30代半ばのお母さんです。彼女が食べているとものめずらしそうにジーと見つめて「ママ、ママ、おやつちょうだい」といって手を出してくるとか。「3才になったらお話できるようになるだろう。そしたら私の食べて吐いていること、外で言うんじゃないかしら。なんとかそれまでに過食を治したいんですが」と、あせりの表情でお母さんは話しました。

◆また中1と小5の二人の女の子を育てながら過食嘔吐に苦しんでいる40代半ばのお母さんも来所しています。「中1というと思春期の入口にきてる。私のマネをして食べ吐きしだすのではないかと心配でたまりません」と言いながらも、毎日の過食嘔吐をやめられないジレンマにお母さんは苦しんでいます。

◎摂食障害のカウンセリングは、家族の協力が不可欠

摂食障害にかかる人たちの年齢層が広がってきた昨今の治療は、一般的に行われている本人のみを対象にした傾聴カウンセリングだけでは乗り切ることは難しいものがあります。当センターで行っている家族カウンセリングが有効と認められてきました。もちろん母親や夫の同席がいいとは限らないこともありますので、そのへんは慎重に判断しています。ただ年令の低い子供の場合は、親御さんの協力を抜きにしては語れません。ときには親御さん(母親)のみを対象にしたカウンセリングで、子どもの摂食障害が好転する事例も多くあります。具体的なアドバイスや課題を親御さんにだしながら、親子が助けあえる関係に導いていきます。

親御さんや夫の協力を得て二人三脚のカウンセリングで、摂食障害の改善に大きな成果をあげてきました。

関連記事

2011.09.25

『克服できるリストカット症候群』(星和書店)福田俊一・増井昌美 著

淀屋橋心理療法センターからリストカットの本を出しました。内容をわかりやすくまとめてご紹介させていただきます。 『克服できるリストカット症候群』星和書店(2011.6.26) 著者:福田俊一 所長・精神科医  & […]

ぎりぎりタイプの不登校(高校生のギリギリ再登校)

ギリギリ再登校を願う気持ちに変化が・・ 三学期に入り、あっという間に二月三月・・。とうとう学年末を意識する時期になってしまいました。これまで「一日でも早く再登校を」と望んでこられたご両親や先生方。不登校が長期化してこの時 […]

2014.01.21

【不登校】小学生の家庭内暴力

小学生の家庭内暴力は中学生以上の子の暴力に比べると、暴れる程度はまだマシな子が多いでしょう。もちろん、中には親を叩いて青あざができたり、壁を蹴って穴をあけたり、リモコンを投げつけて壊したりと、被害が大きいこともあるようで […]

シリーズ記事

2011.10.21

1.1.発症の年齢層:摂食障害は若い女性がかかる病気ではないんですか!?

◎質問1:摂食障害の過食症・拒食症は、若い女性がかかる病気だと聞いていましたが、最近発症の低年齢化ということを新聞で読みました。最年少はどのくらいですか?(10才の娘をもつ母親より) ◆淀屋橋心理療法センターでは二年前に […]

コラム一覧へ