1.ダイエットから体重が減りすぎて不安な母親「この子、ひょっとして拒食症!?」(拒食症歴1年 中3)

淀屋橋心理療法センター(大阪)にある摂食障害専門外来には、たくさんの母親が子どもの食行動について相談に来所しています。食べる量がだんだん少なくなり体重が目に見えてへってくると、母親としては「この子、ひょっとして拒食症!?」と不安になってきます。そのなかで今回は「拒食症の診断」とそれに関する注意点をお話しましょう。(下記に「拒食症の診断基準」ものせています。ご参考にしてください。)

神経性食欲不振症(拒食症)の診断基準

【厚生省特定疾患・神経性食欲不振症調査研究班】

(当センター福田所長研究班メンバー1984~1986)

  1. 標準体重の-20%以上のやせ
  2. 食行動の異常(不食、大食、隠れ食い、など)
  3. 体重や体型について歪んだ認識(体重増加に対する極端な恐怖など)
  4. 発症年令:30歳以下
  5. (女性ならば)無月経
  6. やせの原因と考えられる器質性疾患がない

「チーム医療としての摂食障害診療」(診断と治療社2009))

「ダイエットから体重がこんなにへって。娘は拒食症では?」と不安な母親

母親は当センターの摂食障害専門外来に来所するまでのいきさつを、くわしく話してくれました。

娘の麻央さん(15才 中3)が最近ダイエットにこだわりだし、母親はやせていくことに不安を感じていました。鏡のまえでうれしそうに自分の体型を何度もみていることも不安をつのらせます。生理が止まったということを聞いて、「もうこれ以上待てない」と、母親は思い切って麻央さんをつれて近くの心療内科へ診察を受けにいきました。

「なぜ娘がそこまで食事やカロリーの数値にこだわるのか?やせていきつつあるのに太っていると言い張るのか?」、母親はさっぱりわかりません。

「食べたい気持ちがあるので、拒食症ではない」というドクターの診断を聞いて不安が

まず麻央さんが一人で診察を受け、そのあと母親が入って話しをききました。「娘の体重が極端にへっているように思われます。何キロかは私に言おうとしませんが。だんだんやせていくので心配です。拒食症ではないでしょうか?」と、母親は不安な気持ちをドクターにぶつけました。

ドクターは次のように話したということです。「拒食症かどうかの診断はむつかしいです。娘さんはやせているのに足が太っていると言ったり、お腹がでているのを気にしたりしています。このように「やせているのに太っている」と体型にこだわるのは、確かに拒食症の特徴です。しかし当医院は拒食症であるか否かは自己申告で決める事になっています。娘さんはさきほど『食べたい気持ちがある』と言われたので、拒食症と診断はできません」

母親はドクターから「拒食症と診断できない」と言われても、日々やせていく娘を見ていると不安でたまりません。一日も早く治療という形にもっていきたい気持ちでいっぱいです。インターネットで「拒食症 診断」と入力し、検索してみました。そこで淀屋橋心理療法センターに摂食障害専門外来があるとわかり、大急ぎでかけつけてきたということでした。

拒食症の診断には「内科的な他の病気」がないか、まず検査を

この話しを母親から聞いたカウンセラーは、「拒食症でも食べたい気持ちはあると言う人はけっこういますよ。それよりも「食べない」という裏に内科的な他の病気がないかどうかがポイントです。たとえば腸の病気や脳下垂体の腫瘍などですが、検査をうけて、もしこのような病気が見当たらないのであれば、確定診断はともかく拒食症の可能性は高いですね」と、精神科医でもあるカウンセラーはしっかりとアドバイスをだしました。

「拒食症」という診断を子どもに知らせてもだいじょうぶか?

「拒食症であると診断されたら、子どもに知らせてもだいじょうぶでしょうか?」と母親は、不安げに聞きました。「拒食症の場合は、親御さんが告げていただくと、拒否反応がでるということがよくあります。やはり摂食障害の専門家とか医師から伝えてもらうのが一番いいことです。そうすることでご本人も納得し受け入れやすくなるでしょう。また親子の話し合いも風通しがよくなり、接し方がスムーズにいくことがよくあります。

その反対に自分が拒食症であるとわかると、カウンセリング治療を受けることを拒否する子どもさんもいます。「治療を受けたら、私は太らされるにちがいない」と思い込んでしまうようです。しかしカウンセリング治療を受けていくにつれ、たいていの子どもさんには成長がみられ体重が増えても受け入れられるようになってきます」。

しかし子どもさんの状態などをみて告げるタイミングは大切です。どのポイントで告げるといいかなどについては、カウンセリング治療のなかでアドバイスをさしあげます。

カウンセリング治療で拒食症のアドバイスがもらえる安心感

母親は話しを聞いてまずカウンセラーから指摘された内科的検診を受けることを約束しました。同時に摂食障害専門外来で拒食症のカウンセリング治療をスタートしました。母親は、これからどうしていけばいいかアドバイスがもらえる形になって、ひと安心した表情でカウンセリング室をあとにしました。

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