1.「話のさいちゅう、急に黙り込んでしまって」….過食症の人によくあること

急に黙り込んでしまったり、不機嫌になったり

過食症の娘さんをもつお母さんから、「いっしょに楽しく話をしてると思ったら、子どもが急に黙り込んでしまうことがあって。私が何か気に障ること言ったかと心配になって。どうしてこんなことになるのでしょうか?」といった疑問がよくだされます。

摂食障害の人は、カウンセリングのなかでも急にしゃべらなくなるということはよくあります。始めのうちはお母さんと同じで「なにかいけないことを聞いてしまったかな?」と、思ったりしました。何度かこんな体験をしているうちに、本人にいろんな事情があるんだとわかってきました。その事例を紹介しながら、切り抜け方も含めてお話しましょう。

言葉がでるまで待ってあげる

ちょっとしんどいのですが、こちらから「どうしたの?」とか「なにか気に障った?」とか聞かないで、しばらく黙って待ってあげるというのも大事な対応の一つです。12345・・・10秒くらい待っていたら、ポツポツと話始めた人もいました。またこれが意外に本人をせかさずよかったこともありました。『沈黙の共有をしながら待ってあげる』というのも大切なことです。

「ほっといて、ねむくてねむくて」

別の事例ですが、K子さんは体重を減らしたくて、毎朝6時に起きてランニングしているそうです。カウンセリングが10時からだから、そのままずーと起きたまんま。「だからちょうど今、すっごい眠気がおそってきて」とK子さんが言ったときは、「え、なんだそんなことだったの」と、笑いが起きたこともありました。

過食症の人は、とつぜん食欲のスイッチが入ってしまうこともある

これは本当によくある理由です。まったく食ベモノに関係のない話をしていても、何かをきっかけにとつぜん食欲のスイッチが入ってしまうということもあります。「家を出る前に冷蔵庫あけたらプリンが一個のこってた。急に思い出して気になって気になって。すみません」と言った人もありました。

過食症の人は何かをきっかけに食欲にスイッチが入ってしまいます。食べたくて食べたくてたまらず、なんにも頭に入らなくなることがよくあります。本人もそんな状態にあることを悟られないよう抑えこむ傾向がつよく、まわりから見てもほとんどわからないようです。

「食べたいの我慢してるのに、お姉さんたら!」

これは過食症のMさんが話してくれたことです。

食べたいのを我慢してお姉さんと話をしていたとき、「今食べたら過食に火がつくぞ」と、心のなかでは微妙な戦いを強いられていたことがありました。私はそんなしんどい思いをしながら我慢しているのに、お姉さんは『チョコレートあるけど食べる?』と無神経に聞いてきたとか。Mさんはその場にいたたまれず、プイッと席をたって出て行ったことがあるそうです。

「私の心の苦しみもしらず、姉さんはなんてこと聞くんだ!もう許してやるものか」という怒りでいっぱいだったと後で話してくれました。

「あーあ、100g増えてる、もうダメだ」

摂食障害の人は体重がほんのわずか100g増えても気になります。「ランニングもしてるし、食べる物も減らしているのに、なんで増えるの、最悪!!」と、くやしい気持ちでいっぱいになります。

「お母さん、100g増えてるよー、私もうダメ!」と泣き崩れる人もいます。それからがたいへん。100gの体重増加が気になって、何をしてもそこに戻ってしまいます。ゆううつな気分から抜けだすことができません。こんなときは一時的に元気よく話していても、急にふさぎ込んでしまうことがよくあります。

気になることをボソボソと話だして

長い間の沈黙のあと、突然小さな声でボソボソと話だし人もいました。。「え、なになに・・・」聞き取りにくいかもしれませんが、しっかりと耳を傾けてあげましょう。「今朝出る前にネコにえさやるの忘れた。だいじょうぶかな」と、つぶやいています。このようにまったくその場の相談(過食症)に関係ない内容にとらわれているときもあります。

摂食障害(過食症)の人は絶えず目の前に食べ物がちらついて、「食べたい、食べたい」という欲求がぐるぐる回っていることがよくあります。「そのせいで目の前のことに集中できない」というのが本音のようです。その人によっていろんな理由があって、話の途中で急に黙り込んでしまうということがよくあるようです。

「頑張って目の前のだいじなことに集中するんだけど、続かなくて。こんなに食欲にとらわれてどうするのって、自分でもその馬鹿さかげんでいやになっているの。でもやめられなくて、つらい!」

と過食症の人はつらい気持ちでいっぱいなのです。

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