【質問3】母親の質問にお答えします。「吐くな!」って怒鳴る父親。「吐かないと太るよー、こわいよー」(C子 過食嘔吐歴8年)

【質問3】「吐くな!」って怒鳴る父親。「吐かないと太るよー、こわいよー」とパニック寸前の娘。そんな父親と娘のあいだで疲れ果てている母親(娘C子 過食嘔吐8年)

●母親の訴えです。

「私はほとほと疲れ果てました。毎日の食べ吐きをめぐる家族の争いは大変なもの。娘は過食した物を吐きにトイレに居座っていて、父親は『トイレまだか、はやくでなさい!』って怒鳴るし。吐くのに時間がかかるみたいなの。やっと出て来たら『トイレ臭いぞ、また吐いたのか』って。娘は『お父さんのせいで、うまく吐けなかった』と、不機嫌きわまりない顔つきだし。出て来たあとも二人の言い争いは続いて『食べてもいいが、吐くなってあれほど言ってるのに』と父親は恐い顔。娘は吐いたあとのしんどさで廊下にうずくまっているし。娘は『私の過食のこと、お父さんはなんにもわかってくれない。吐かないと太るよー、なんとかしてよー』と毎日のように泣いているんです。父親と娘のあいだで私は板挟みになって動けません。どうしたらいいでしょうか?」。

【答え3】摂食障害(過食症・拒食症)を父親に理解してもらうのは、たいへん難しいことです。「なぜそこまで娘が食べた物を吐くのに必死になるのか。太りたくなければ、食べなければいいんだ」と、父親は言います。これを理解するのはなかなか難しいでしょう。母親の説明だけでは十分にわかってもらえないことがよくあります。母親一人ががんばるのでなく、父親にもカウンセリングに参加してもらい専門家から説明を聞きましょう。

●「父親も娘の身体が心配」な気持ちから「吐くな!」と言っている

父親と娘の板バサミ」というのは、過食嘔吐の娘がいる家族によくみられるの争いの一場面です。父親にはなかなか摂食障害という病気の深刻さが理解できない人が多いようです。「娘はわがまま、意思が弱い」と言いつのり、母親の説明もうけつけないことがよくあります。

しかし父親も内心は娘の身体を心配しているのです。カウンセリングに参加して、「食べた物をぜーんぶ吐いてしまって、身体のほうは大丈夫なのか。風邪でもひいたら熱をだして重症になるんじゃないか」という気持ちを率直に話した父親もいます。それ以外にもやはり「もったいないじゃないか。食べた物を吐くなんて。お金をどぶに捨てるみたいなものだ」という意見もよく聞きます。

「そのうちなんとかなるだろう」と模様ながめしていると、父娘関係がこじれて「口もきかない」という事態になりかねません。親子で口もきかないという関係は、拒食症の治りにもわるい影響を及ぼしかねません。二人の間がこじれるまえに、専門家に相談することをおすすめします。

過食症とは?」「なぜやせたがるの?」「なぜ食べ吐きが止められないの?」といった摂食障害にとっては根底をなすことがらですが、父親にこれをわかってもらうにはなかなか難しいものがあります。「吐くな」という父親の命令口調の声が、娘にとっては地獄のさたのように聞こえることでしょう。それくらい「吐かない=太る」ということは、摂食障害の本人にとってはつらいことなのです。

母親一人でなんとかしようとするのでなく、父親にもカウンセリングに参加をうながしてみましょう。カウンセラーから専門的な知識をわかりやすく説明してもらって理解を得られるうようにしましょう。父親がダメなら他の家族メンバーで参加できる人でもいいのです。家族のなかに一人でも多くの理解者をつくることは、摂食障害(過食症・拒食症)からの回復に大きな力をもたらします。

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