『克服できるリストカット症候群』(星和書店)福田俊一・増井昌美 著

淀屋橋心理療法センターからリストカットの本を出しました。内容をわかりやすくまとめてご紹介させていただきます。

『克服できるリストカット症候群』星和書店(2011.6.26)

著者:福田俊一 所長・精神科医
    増井昌美 家族問題研究室長・ファミリーセラピスト

リストカットの謎に迫り、克服への道をクライアントやその家族とともに歩むカウンセリングをめざして。

「頑張りすぎ」が止められない、「相手にあわせすぎ」から抜けられない…
リストカットの背景にある「それぞれの生きづらさ」を、ベテランカウンセラーが丁寧にほぐし、解決に導く4つのストーリーを紹介。

【主な目次と内容の紹介】

第一章 カウンセリングの現場からみえてきたリストカットの真相

著者の福田は35年前から病院で医師としてリストカットの治療に携わってきた。そのとき「リストカットは謎につつまれた症状」という印象をもっていた。その後淀屋橋心理療法センターを開設し、カウンセリングを中心にリストカットの治療を行うようになった。
次第にリストカットへの理解が深まり、その真相が見えてきた。「負けてたまるか」「頑張りすぎ、ムリしすぎ」、これがリストカットをする人にかなり共通してみられる心理であるとわかるようになってきた。それと同時に治療の幅が広がり、多くのリストカットで悩む人たちを救うことができるようになった。

本章では効果的な治療方法がみつかるまでの福田の心の動きも含め、治療のプロセスを紹介している。

第二章 ケースにみるリストカット

ケース1:不登校からリストカットへ…くり返される自傷行為
[真希(17才 高2)「頑張りすぎ、ムリしすぎ」からリストカット]

「学校もテニス部も私がいないとダメ」という頑張りすぎから降りられず、くり返されるリストカット。両親はどうしていいかわからずオロオロしていたが、カウンセリングで落ち着きをとりもどしていく。本人もとうとう「もうこれ以上は頑張れない」と本音を出すことで、苦しさから救われた気持ちになれた。カウンセラーと一緒に本当に自分にあった頑張り方をみつけ、ムリのない高校生活を取り戻しリストカットから脱出していった。

ケース2:摂食障害(過食症)からリストカット…職場と父親のダブルストレス
[有子(24才 OL)職場ストレスと父親への不満からリストカットを]

OLとして働きだして半年たったころ過食症が発症した。有子は「私は職場のストレスを過食嘔吐で発散させているんだ」と、半ば肯定的に受け止めていた。ところが父親から過食嘔吐をとがめられ「吐くな!」という声に、追い詰められたようにリストカットをするようになった。
その後カウンセラーと母親の努力で父親もカウンセリングに参加し、有子のリストカットに取り組みだした。やがて有子は父親にも怒りや文句をぶつけられるようになり、父親と言い合いになっても仲直りができだした。
それに加え職場のストレスを母親に話すことでスッキリできるような母娘関係ができてきた。やがて「リストカットは卒業よ」とまで有子は言えるように回復した。

ケース3:激しいリストカットから克服への道
[篤子(20才 大3)ボーイフレンドにふりまわされ、パニック状態でリストカットを]

篤子のリストカットは風呂場を血の海にするくらいかなり重症だったので、両親は毎日のように娘のリストカットにおびえていた。篤子はボーイフレンドに夢中で、彼の心ない言葉に傷つきパニック状態になって切っていた。
カウンセリングでは篤子の関心の裾野を広げながら、一方母親には受けとめ方をアドバイス。こうした地道な努力のなかで篤子はリストカットの連鎖を断ち切るまでに成長していった。
一年あまりで激しいリストカットを克服できた娘の姿に母親は「こんなに早くよくなるなんて、夢のようです」と、カウンセラーに話した。

ケース4:留学先でリストカットを見つかって
[由佳(16才 高2)春の体育祭で活躍したあと留学し、現地でリストカットを発症]

オーストラリアへの念願の留学ができたのに、3ヶ月で日本に送り返されてきた由佳。現地でリストカットを見つかったという。「リストカットは精神的に重い病気の子がする行為」という診断が現地の精神科医からだされていた。
さっそく両親を含めてのカウンセリングが始まった。無関心無感動のようになっていた由佳が、カウンセリングの回数を重ねるごとに感情を取り戻していく。「私はスロースターターなの」という自分の持ち味もつかめだし、しだいに気持ちを言葉でしっかりと伝えられるようになってきた。留学中に言いたくても言えなかったことも言えだして、元気を取り戻していく由佳。やがてリストカットはすっかり姿を消していった。
福田医師により「感情のコントロールが未熟で、すごくイライラしたときにどのように解決していいかわからず、手首を切ってホッとする。自殺未遂というようなものではない」という診断書が出された。
こうしたカウンセリングの成果のよって、由佳や両親の念願であった残りの留学期間を過ごすため、由佳は再び元気よくオーストラリアへ旅立っていった。

第三章 リストカット…母親の不安や疑問に答えて

Q1:娘の部屋に入ったら、血のついたタオルやティッシュがありました。頭が真っ白になって……どうしたらいいでしょう?
Q2:リストカットの傷を見つけたとき、どうすればいいでしょうか?
Q3:リストカットの傷の手当はどうしたらいいのでしょうか?
Q4:子どもがカミソリやナイフを持っているようです。取り上げて隠したほうがいいのでしょうか?家にある刃物なども気になりますが、自然にしておいたほうがいいでしょうか?
Q5:リストカットをしそうなとき、親としては外出を控えて子どものそばにいたほうがいいのでしょうか?
Q6:子どももカウンセリングに参加させたほうがいいですか?
Q7:子どもが暴れだして、テーブルをひっくり返したりしています。「リストカットしてやる。死んだら親のせいだ!」と言って、自分の部屋に飛び込んでいきました。こんなとき、いったいどうしたらいいでしょうか?
Q8:子どもが「不安で不安でしょうがない。どうしたらいいの?」と訴えてきても、親としてそれをどう受けとめたらいいのか、なんと答えていいのかわかりません。
Q9:最近子どもが自己否定の言葉をよく口にします。「私は生きてる値打ちがない」「私なんか死んだほうがまし」「人生の目的なんかなにもない」などです。どう返事したらいいのか、わからないのですが。
Q10:自分でできることでも「お母さん、やって」と、私に頼むようになりました。断るとまた「リストカットしてやる!」となるのではないかと心配です。なるべくしてやるのがいいのか、それともできることは自分でやらせたほうがいいのか、迷っています。
Q11:子どもが最近私にとてもきついことを言ったり、きつい言い方をしたりします。これは注意したほうがいいのか、それともそのまま受け入れて聞いていたほうがいいのでしょうか?私もきつく言われると、胸が痛みます。気持ちが萎えてしまって、立て直すのに時間がかかります。
Q12:「子どものことはお前に任せたぞ」という夫の言葉にしたがって、私一人頑張って子育てしてきました。今子どものリストカットという大変な問題がおきているのに、夫はあまり協力してくれなくて。
「私ばっかりしんどい思いをしているのに、不公平だ」と、夫に対して腹がたちます。

関連記事

2014.05.01

高校入学早々に非行仲間をつくってしまう子

中学や高校に入学してすぐの時期は、誰もが「友だちできるかなー」と不安でいっぱいです。特に非行の子が「高校」に入学した場合、他の子以上に「友だち欲しい願望」が強いため、注意が必要です。 「高校」は公立中学と比べ、入学試験を […]

不登校・親として「何もするな」と言われて困っていませんか?

「子どもの不登校(登校拒否)を何とかしてやりたい」 我が子のピンチを何とかして解決してやりたいと考えるのは親として当たり前のことです。ところが、必死で探して相談機関や医療機関に行ったものの、カウンセラーや医者からは予想も […]

お父さんの言いなりのお母さん。むかつくの!

「お母さんは召使いでお父さんが社長」うちの両親はこんな感じがする。なんで、って思ってるけど口にだして言えなくて。こないだもお父さんがお風呂から「おーい、オレの下着どこだ」って大声で呼んでるの。ばかみたい。「下着くらい自分 […]

シリーズ記事

2011.09.25

1.『克服できるリストカット症候群』(星和書店)福田俊一・増井昌美 著

淀屋橋心理療法センターからリストカットの本を出しました。内容をわかりやすくまとめてご紹介させていただきます。 『克服できるリストカット症候群』星和書店(2011.6.26) 著者:福田俊一 所長・精神科医  & […]

コラム一覧へ