「佼成」10月号(佼成出版社刊)に、取材記事が掲載

家族のかたち 『いま、家族はどこへ向かうのか』

お盆を過ぎた暑い夏のことでした。佼成出版の編集部から池田友里江記者が、東京からわざわざ新幹線でかけつけてこられました。現在、不登校、ひきこもり、摂食障害など、多くの問題を子どもたちが抱えています。いま一度あらためて「家族」に焦点をあてた「家族療法」を紹介したいとのお話しでした。当センターからは、福田所長と増井が取材に対応させていただきました。

以下は「佼成」10月号(佼成出版社刊)に掲載された記事を全文そのまま載せています。

子どもの持ち味を見極める

「家族療法」は、簡潔にいうと、家族間のふれあい方を変えることで悩みを解決するカウンセリング方法です。つまり、家族のだれかに悩みや症状が現れたとき、その原因は当事者だけでなく、家族全体の関係、コミュニケーションにあるという考え方です。家族は本来、自分たちの力で問題を解決できる能力をそなえています。「家族療法」では、それぞれの家族にあった方法で、家族のかかわりあい方、関係を見直し、問題を解決する<家族の力>をひき出していきます。

私のところには、不登校、摂食障害、うつ、不安神経症、対人緊張、ひきこもり、ニートに関する相談が多く寄せられます。親が子どもを救いたいと必死になって来られ、そうした気持ちが強いほど、問題が根本的に解決する確立が高いように感じます。このことは、問題に立ち向かう親の姿勢が、少なからず子どもの心に影響していることを物語っているともいえます。

問題を抱える子どもたちに共通しているのは、苦悩に直面したときの対応策がわからないという点です。困ったとき、だれを信用してどう話していいかわからない、話をしても期待した答えが得られず、不満が募る。すると、自分の気持ちをコントロールできなくなって、なんらかの問題行動が表れるのです。壁にぶつかったときの対処法は、人に教わるものではありません。けいけんを重ねるなかで、自分自身をどう扱えばいいかを学び、培っていくものです。自分はどんな心の癖をもっていて、それをどう扱えばいいかを知ることは、自らの力で悩みから脱出する足がかりとなります。

そのためには、本人の持ち味(性分)をよく知ることが肝心です。私は、相談に来る方に、問題行動そのものに対するアドバイスはすぐには出しません。それよりも、日ごろの生活に目を向け、本人や両親に細かく質問します。「部屋はきれいですか?」「きれいにしてもだんだん汚くなってしまいますか?」「起きたらすぐ顔を洗いますか?それとも冷蔵庫をのぞきますか?」というように、何気ない生活の断面をいくつも見ることで、悩みを聞くだけではわからない、子どもの持ち味や癖を見つけていきます。

表面化している一面だけを見るのではなく、生活に目を向けて子どもの持ち味を理解していくなかに、問題解決のヒントを見いだす。私どものセンターでは、その作業をエコロジカル・アプローチと呼び、親とともにすすめています。カウンセリングのなかで、子どもの生活の細かいところに目を向けるように親に実践してもらうと、「この子は急がせるとカッとなるな」「じっくり考える時間がないとイライラするな」といった傾向に気づきます。こうした背景を理解したうえで、私たちは数々のケースを見てきた経験をもとに適切なアドバイスをおくります。

たとえば、何気ない会話で、子どもから「お母さん、きょうはくもりだね」と話しかけられたら、「そうね、傘もって出かけなさいよ」と先を読んだことを言うのではなく、「ほんとうね、くもりだね」くらいにとどめておき、子どもが会話をリードできる環境をつくるようにしましょう、とアドバイスしています。子どもが自らの力で壁を乗り越えられるようになっていく環境づくりを援助するのです。

夫婦の連携

子どもは性別にかかわらず、父親より母親に相談相手としての役割を求めがちです。カウンセリングでも、母親が力を存分に発揮してくれるかは重要です。ただ、母親が粘り強く子どもとかかわれるか否かには、父親の存在がかかわってきます。たとえば、ひきこもりの子どもが、ある朝自分の部屋のカーテンを開けたとします。その変化に母親が気づき、夫と「あの子がカーテンを開けたのよ」「そうか、よかったなぁ」という会話ができるとしたら、子どもの問題を共通の関心事にできる夫の存在は、常に子どもと向き合って悩みに直面し続けている母親の大きな救いとなるのです。

この家族のように、両親が常に自分のほうに目を向け、ほんのささいな変化もしっかりと受けとめて成長ととらえて喜んでくれたなら、子どもの心はどんなにほっとするかわかりません。夫婦も子どもの日々の様子をとおして会話がふえ、「きょうは声が大きかったな」「あんなことを言うなんて珍しいな」などと喜びを分かちあえるようになり、カウンセリングが進むなかで解決の糸口が見えてくると、表情も明るくなっていく。親と子、夫婦のあいだに広がるこうした心のふれあいこそが<家族の力>となり、子どもの心に次ぎなる変化を起こさせるのかもしれません。

理想論でなく、現実的に取り組める道筋を示せる人に相談するのは大事なことです。解決できそうもない問題でもいい専門家に相談すれば、悩みのなかにも光を見いだせる道筋を示されることでしょう。問題を自分たちで解決しようと努力することは大切です。ただし、疲れ切って気力をなくし、問題が長引いたり、こじれてしまうこともあります。行き詰まったと感じたら、迷わず、早めに相談することをおすすめします。

たくさんの家族に接して感じるのは、子どものために一生懸命になる親の愛情の大きさです。家族が生き生きとした姿に戻っていくのを見るにつけ、やはり家族には本来、子どもの悩みを解決できる力が宿っていると感じずにはいられません。

月刊誌「佼成」は、佼成出版社(03-5385-2325)でお求めになれます。

2019.04.17  著者:福田俊一 増井昌美

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