「過食症と食べ物をめぐる親子げんか」(第一話)

このコーナーは、摂食障害(過食症・拒食症)にかんする情報コーナーです。本症にお困りのあなたやご家族の方にお役にたつかもしれないと思いお知らせしております。淀屋橋心理療法センターから出版された著書からの抜粋紹介や、その他新聞・雑誌などからの情報記事を紹介してまいります。

まずは、当センターの出版本からご紹介しましょう。

『過食症と拒食症』 ― 危機脱出の処方箋 ―福田俊一、増井昌美著(星和書店、2001)より

本書は当センターで治療したケースをもとに執筆、星和書店より出版したものです。本文のなかから症例や治療のポイントを抜粋しながら、要点やあらすじをシリーズでご紹介していきます。全文をお読みになりたい方は、本書をごらんください。なお本書は全国各地の主要書店にてお求めになれます。(1800)

過食症と食べ物をめぐる親子げんか。

第一章親子の葛藤を乗りこえ、信頼関係をきずく

(1)過食症と食べ物をめぐる親子げんか

1.「私の目につくところに食べ物おかないで」

症例1:過食になって初期のころよくある親子げんか
洋子(本人、高校一年生、16才、過食歴3ヶ月)

母親:さっきから冷蔵庫をバタバタ開けてるけど、まだ食べたいの?

洋子:うん、晩御飯だけで終わりにしようと思ったんだけど。

母親:あら、それだったらそうしたら。

洋子:だけどね、健(弟)が筑前煮のこしてたでしょう。あれ見たらむしょうに食べたくなって。

母親:目についちゃったの、ごめんね。

洋子:私の目につくところに食べ物置かないでって頼んでるでしょう。

母親:気をつけてるんだけど、完璧にはできないわよ。

洋子:もうがまんできない。過食しちゃうわ。お母さんのせいよ。

Q&A

Q&Aコーナー

Q:過食になって3ヶ月というのは、早い方ですか?

A:来所ケースとしてはきわめて早い段階ですね。この方はお母さんが働いておられ、自分であれこれできないということで、学校の先生に相談され、そこからの紹介でこられました。自分でこっそり買い込んで自室で食べる「隠れ食い」でもないし、毎日過食せずにはいられないという段階にも至っていません。お母さんの対応によっては、まだまだよくなる可能性があります。

Q:その対応のコツというのは、どんなことでしょうか?

A:なんといっても「食べ物」で親子がつながらないようにすることです。目に付くところに食べ物を不用意においておかず、どこかに隠しておくとか。食べていても知らん顔しておくとか。「あれ買ってきて」と言われても、過食の買い物は基本的には本人に任せる方針で。初期のうちならこれは十分可能です。またできるだけ話題をほかの領域に広げます。スポーツ、ファッション、タレント歌手、ニュース、なんでもいいのです。本人が興味を示してのってくるのであれば。「あ、これだ」とわかったらマンガであってもゲームであっても、しっかり聞いてあげましょう。できるだけ「食べること」で親子がつながらないようにすることが大切なコツです。初期であればあるほど、これで症状にブレーキをかけられることが多いのです。

Q:この時期に気をつけないといけないのはどんなことでしょうか?

A:それはちょっとした一言、対応の仕方などでよくなる可能性も大ですが、ぬかるみにはまる恐れもあるということです。目に付くところに食べ物がなければ、まだ過食をせずにすむということは自分でブレーキをかけられということです。これは過食において最大の武器と言えましょう。ところがぬかるみにはまるというのは、洋子の最後の言葉「お母さんのせいよ」に注目してください。これは「自分の過食」は「親のせい」というニュアンスがあります。この言葉がでてきたら、「過食はあなたのことだから、協力はするけどあなたも努力しようね」と、きちんと親側からブロックしないといけません。「親のせい」という意識を助長するとだんだん親子関係にひびが入りだします。

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