「もう過食にばっかり逃げ込んでられへん」と、祐美の決意の言葉

ねばり腰で、自分の言い分をきちんと言えるように

1.上司に叱られると、すねて無視。あとで過食衝動が

「なんでそんな大事なことすぐに報告してこーへんのや。一人でできひんかったら、すぐに助け手の連絡してこい、ゆうてるやろ」と、祐美は上司に叱られた。「そんな言い方せんでもええやろ。むかつくな」と、祐美は心の中で思った。「すみません」と、腹立ちまぎれにいったけど、顔つきはふくれっつら。声はけんけん。「むっちゃ気分悪かったから、帰るときもあいさつせんと無視して帰ってきたわ」。家に帰っても気分はおさまらず、もんもんとしながら過食衝動が止まらない。

2.「すみません」のあとで、事情を話そう

祐美には祐美の言い分があった。お客さんが「ちょっと電話かしてください」といってきて、電話が使えなかった。そこへ次の人がやってきて「駅までの道、どないいったらいいですか」と聞いてきた。ばたばた応対しているうちに、約束の時間になってしまったというのだ。

セラピスト:そんな時はね、ふきげんな顔つきで「すみません」だけいうんじゃなくて、祐美さんの事情を説明せんとあかんのとちがう。

祐美:そやけどな、腹たってしもて、冷静になられへんのや。

セラピスト:それはわかる。腹立つねんな。だけど職場でそれをだすと、まずいよね。明くる日から行きにくい感じしなかった?

祐美:はい、しました。まわりの人らも、なんか自分のほう、つめたーい目でみてるような気がして。「おはようございます」も、言いにくかったです。

セラピスト:そうやろ。腹もたつやろうけど、そこは持ちこたえて自分の事情も説明できんとね。

祐美:うーん、「なんでこんな言い方されなあかんねん。私やったって、お客さんのこと思ってやってたのに」。それで頭がいっぱいになってしもて。

セラピスト:なるほど、祐美さんにはちゃんとした事情があるんやね。それわかってもらいたいよね。

祐美:はい、むっちゃわかってほしいです。どないしたら言えるようになるんでしょうか。

3.「もう過食にばっかり、逃げ込んでられへん」

セラピスト:いっぺんにはじょうずに言えへんよ。でも一回一回練習したらできるようになると思う。まず初めに「すみませんでした。以後気をつけます」と、はっきり言って謝ること。それからちょっと間をおいて祐美さんの事情を説明するんや。「じつは、これこれこうでした」と。ねばり腰でね。

祐美:できるやろか。そんでも今までのようなことしてたら、私、今の職場も長続きできひんのわかってる。これまでやめてしもたんも、みんなこんなことからやった。腹立ったら「もうええわ」で、切ってしもてた。そんで過食や。食べることに逃げ込んで、食べることで解消してたんや。そら続かへんわな。なんかわかってきた。私、今の職場気に入ってるし、長く勤めたい。やってみます。注意されて腹立ったら、ぐっとこらえて「すみませんでした。以後気をつけます」やね。やってみます。もう過食にばっかり逃げ込んでられへん。

セラピスト:そうか。そのとおりや。これができるようになったら、祐美さんは成長するよ。人間として一段大きな人になれると思いますよ。

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