よその子にくらべて遅れていると思うと不安で眠れない|子育ての悩み

子育ての悩み
よその子にくらべて遅れていると思うと不安で眠れない

育児書どおりが正しい発達レベルと信じこんで

面接室には三十代の若い夫婦が座っています。4才と2才の二人の子育てに、母親がまいっているということです。セラピストが入室すると母親は立ち上がり「お願いします」とすがるような表情であいさつをしました。いっぽう父親のほうはどたっと椅子の背にもたれたまま。わずかな首の傾ぎがあいさつ代わりでしょうか。「子育てに父親はどれだけかかわっているのだろう。しかしカウンセリングを受けに妻と一緒に来所することだけでも評価しなくては。態度とはちがって、心のなかは真剣なのかもしれない」と、セラピストは思いながら座りました。

「なにが一番しんどいですか?」といった問いかけに母親はまず「遅れてるとおもうんです」」と、一言。おもむろにカバンから育児書とメモとハンケチをとりだしました。「ここを見てください。『3才で公園デビューをして、だんだん他の子どもと仲間あそびができる』『自分のおもちゃを貸してあげられる』『親が絵本を読み聞かせると、聞けるようになる』とありますでしょう。家の子どれもできないんです。公園に連れていってもみんなの中にはいれないし、無理に入れてもらってもトラブルばっかり。自分のおもちゃを貸してあげられないし、相手の子のを取り上げてしまうし。だから友だちになってくれる人がいなくて。最後の絵本の読み聞かせですけど、隣の健ちゃんなんか、もう「これ読んで」ってみたいに絵本をお母さんのところにもってくるっていうんですよ。家の子じっとしてないんですよ、読み聞かせようとしても」。一気にお母さんはこう話すと、ハンケチで涙をふきました。

「そうですか、それはご心配なことでしょう。でも子どもには発達段階があって、一人一人みんなちがいますからね。それに子どもの持って生まれた個性にもよるんですよ」と、セラピストは語りかけるが、お母さんの耳には届かないようです。「それはわかっています。保育所でも同じことをいわれました。でもイライラはとまらなくて。夜も眠れなくなってきて」と、かなり緊迫している様子が伝わってきます。

「そうですか、ところでご主人はどう思われますか?奥さんはとても困っておられるようですが?」。セラピストはさっきからわれ関せずといった表情と態度の父親に話しかけました。「うーん」と、向き直りながら父親は「私も困ってます。仕事から帰っても、一日中親子げんかやキーキー泣く声でたまりません。もうパチンコに行ってるほうがましですわ」と、言いました。そばで聞いていた妻の目が一瞬キッとなりました。「あなたがちっとも真剣になってくれないから、よけい不安なのよ」「何心配しとんや。元気やったらそいでえやないか」。どうやら子育てをめぐっていつもこんなやりとりが交わされているようです。

どうやら母親は孤立しているようです。どこからも援助が得られず、育児書だけが頼りといった場合によく見られるケースです。「お母さんに援助の手が必要なようですね。心配な話しを聞いてくれる相手、実際に子育ての代わりをしてくれる人、真剣に相談にのってくれる所など。どうでしょう?」「もちろんそれがあればどんなにホッとできるか。この人自分のことばっかりしてるから」と、母親は怒ったような表情で父親を見ました。「何もかもいっぺんに期待するといけません。お父さんもお疲れなのですから。どうですか、子育ての代わりを時間を決めてみてもらうというのは。土日の昼食後2時間とか。これは一例です。まずこの話しを、よかったらここでしませんか」。母親は涙をふいて顔をあげました。「はい、それができたらなんとか。あなたいい?」「ああ、いいよ。おまえはやいやい言うだけで、何をしたらいいかまったくわからないやないか」「いつやったら子どもたちみてくれる?」「そうやな、土日の午後やったらええよ。公園に連れていってもええしな」。

まだまだカウンセリングは必要ですが、とりあえずこれだけのことだけでも二人で話し合えることができました。母親も協力してもらえるという安心感からか、表情がずいぶん柔らかになっています。具体的な行動レベルの援助が父親もやりやすく、母親も一番助かるのです。援助が得られ、話し合いもできでくると、「育児書」のみにこだわる気もちも減ってくるものと思われます。母親の「不眠、不安」もこれからのカウンセリングで解決できるでしょう。

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 息子にカウンセリングの話をしても行きたがらないと思うのですが、どうしたらよいでしょうか。

 カウンセリングは初めてで、どんな場所でどんな形でするのか不安です。


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