『粗暴・暴力児』(別冊PHPより)
暴力児には二つのパターンがあります。まず、非行型の徒党を組む子は、「認められない」気持ちから、 「寂しさ」がつのって、同じような「仲間」に惹かれていく子です。こういう子は暴力以外にも、何か認め られるようなことをする場合もあります。もうひとつのタイプは「恨み」をもっていて、しつこく暴力を 振るう子です。こういう子の言い分はしっかり聞いてやらねばなりません。やったことは叱っても、言い分 だけは「よくわかるよ」と理解してやることがたいせつなのです。自分が認められると気持ちも落ち着いて きます。
暴力を解決していくには、やはり学校と家庭の協力・連携がかかせません。両方に居場所を作ったり、 両方でしっかり言い分を聞いてやらないと、なかなか効果は出てきません。叱ったり制限しないといけない ことも出てきますが、それがマイナスに働かないような工夫は必要です。言い分をよく聞いて、けっして 子どもとの関係を断ち切らないように。
きょうだいげんかも暴力をともなうことがありますが、間に親が入ると、問題がこじれることが多いよう です。親はつい裁判官になって、黒白をつけがちですが、それほど子どもを傷つけることは世の中に他に存在 しないと言ってもいいほどなのです。兄の顔色を見ている弟が不憫でも、成長して体格が近づくと逆襲に出た り、力関係が修復されることもあります。兄が弟をいじめるのは、自然界の序列に基づくもので、しかたのない ことでもありますが、お母さんは年長者を立てつつ、弟への接し方を頼むと、案外いうことを来てくれることも あります。要はお母さんの創意工夫で、けんかへの対処法を考えてほしいのです。
