「夫と話し合えない」というお母さんが多いですね。イライラがこうじて「食べ吐き=過食症」でうさをはらすくせがでてきたため、あわてて相談にみえました。
夫:子どものしつけができてない。なにしとんや。この子はちゃんとゆうて聞かせたらわかる子やのに。
妻:なにゆうてるの、この子がどんなに手のかかる子か知ってるやろ。いっぺん二日ほど代わろうか。
夫:おれが出勤するゆうのに、ぐうぐう寝てて起きもせんと。
妻:私がこの子が泣くから、夜なんども起きてるの知っててゆうの。 それやったらそれでもうよろしいわ。保育所いまさがしてるから、入れてええやろ。
夫:そんなかわいそうなことするな。手がかかるんは子どもの成長の過程やないか。
お母さんは、いらいらが極限に達しているのに、それを夫にわかってもらえない。「保育所に入れたら、楽になるよ」と、母親仲間から言われてその気になっていたのに、それも反対されてしまった。話し合いのテーブルにさえついてくれない夫のせいで、「お腹が減ってもいいひんのに、むちゃくちゃ食べてしまうんです。吐いたらスッキリして。でもこんなことがええわけないですよね」。
『夫と妻の対話』(別冊PHPより)
夫婦の会話を聞いていておもしろいことに気がつきました。妻は「S男、けさも起きないの。あなた起こしてみてよ」と、朝おきをぐずる子どもの話をしています。「うん、そうか・・・ワイシャツいつできてくるの」と別の話題が。歯車がかみあっていないのは明白なのに、これで続いているんです。子どもの不登校が解決せず、こじれていったプロセスが目に浮かぶようでした。
「夫は、人の話はよく聞くのに、私の話は聞いてくれない」という、「聞いてもらえない症候群」にかかった妻の不満をよく聞きます。子どものこと、親のこと、家計のことなど、大事な話がいっぱいあるのに。
じつはこれには夫側の言い分もあるのです。仕事から帰ってきたばかりの夫に、やつぎばやというのはうとまれてしまいます。また、だらだらとした話し方になっていませんか。子どものことや姑さんのことになると、つい情がさきだって悪口が先行してはいないでしょうか。
ポイントを要領よくまとめて夫が「それならあとで話あおうか」という気になるような伝え方を工夫しましょう。また助走も必要です。いきなり重いテーマだと、肩に力がはいってぎくしゃくします。「真理がそのサラダつくってくれたのよ」といった、乗ってきやすい話題からはいっていきましょう。報告から会話に、そして対話にまでもちこっむのにけっこう気づかいや準備が必要ですね。
夫婦の会話でよくある姿ですが、夫が一方的に話して妻が聞き役という従属的な会話は対話ではありません。両者が対等の立場で、お互いの話にしっかりと耳をかたむけ、自分の考えや感じたことを相手に伝えることが対話です。このキャッチボールができているでしょうか。
