「ホッとするもの、どんどん増えてきた」(信子25才 摂食障害・過食症歴5年)|摂食障害 カウンセリング治療専門外来(過食症・拒食症)

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「ホッとするもの、どんどん増えてきた」(信子25才 摂食障害・過食症歴5年)

食べ物や体重の話はかわしながら、カウンセリングをすすめる

過食症の治療がスタートして10ヶ月がたった。セラピーでは意識して食べ物とか体重についての話はなるべく避けていた。過食にまつわるいろんな質問や嘆きや怒りの声が出されたが、セラピストは意識的にかわしてカウンセリングをすすめてきた。

食べ吐きの回数について信子の質問

信子:あのー、きのう3回も食べ吐きしてしまって。どうしたらいいですか?

セラピスト:そうですか、3回もですか。ま、そういう日もあるでしょう。それより信子さんのお好きな「ちびまる子ちゃん」のアニメ、どうでした?

信子:あー、あのね、まる子ちゃんがね、お隣の・・・

朝食の材料を食べられてしまった母親の嘆き

母親:先生、私もうがまんできません。あしたの朝食の材料を袋にいれてひもでしばっておいたのに、信子はそれまで食べてしまってるんです。

セラピスト:朝食の材料を、ですか。それはお困りでしたね。お母さんの枕元においてお休みになるとか。小さい冷蔵庫を買った方もおられますよ。一度工夫してみてください。想像もつかないことが起きるのが摂食障害なんですよ。お母さま、お花の発表会はいかがでした?たしかお母さまも出品なさったんですよね。

母親:まー、先生、よく覚えてくださってて。そうなんです。皆さんとてもおじょうずで、「私なんかとてもだめ」と思ってましたらね、先生、佳作に入ってたんですのよ。もううれしくて・・。

体重が500g増えたと、大騒ぎする信子

母親:昨夜はたいへんな騒ぎだったんです。お風呂に入る前にいつも体重をはかってるんですけど・・・

信子:ちょっとまって。その話し、私にさせて。あのね、先生、500gも増えてたんです。体重が増えたなんて、もうダメです。わたし、生きてる値打ちなんかなーい!

母親:ふとったから、外へ出るのいやだって、カウンセリングに行くのもいやだって、泣いて騒いで。

セラピスト:そうですか。500gふえたんですか。たいへんだったね、信子さん。で、今朝はどうでした?

信子:はい、それが今朝はかったら元の体重にもどってて。それで出てこれたんです。

セラピスト:それはよかった。きょうはね、こんなすてきな雑誌を見つけてきたの。信子さんの好きなアニメのよ。

信子:ウワー、きれいな写真、うれしい!


過食症の人にとって、「食べた食べない」「食材の調達」「体重が増えた増えない」といった話題は死活問題といってもいいくらい真剣なテーマである。それがわかっているだけにその渦に突入しないよう、できるだけほかの話題をもちだしている。本人や母親の興味のわく話題なら、しぜんに会話がはずんで面接がすすみやすくなる。「急がばまわれ」で、このほうが良いきっかけをつかむ可能性が高い。

「ホッとするものが、どんどん増えてきた」

テレビのアニメの話で信子とセラピストのあいだで花がさいた。信子はとてもうれしそうに説明してくれる。

「ちびまる子ちゃんのアニメみてるとどうですか、面白いですか?」「はい、なんかへんに相手にあわさないで、言いたいこと言ってるのがいいなあって思います」。「そうですか。先生なんかは、さざえさんの世代だから、ちょっとちがうのかな」「うーん、似てるんじゃないですか。ちびまる子ちゃんは、「平成のさざえさん」

っていわれてるんですって」「へー、そうなの、知らなかった。いっぺんみてみたいなー」「あのね、あの番組は○曜日の○時からはじまるんですよ。ぜひみてねー。おもしろいですよ」。信子はちびまるこちゃんのマンガももってるから、次の面接の日にもってくるという。話し方に勢いがでてきたような気がする。

そのほか以前からの課題である「ホッとするものさがし」で、信子は紙に書き出してきた。「先生これ、書いてきました。ホッとするものこんなにあります」と。大きな紙B4サイズの紙である。あちこちに思いついたままを書いたのか、バラバラに字がおどっている。「えー、こんなにあるの!」セラピストは驚いてしまった。と同時に、心のなかでこうもつぶやいていた。「信子さんは、自分がなんにも興味わかないって嘆いていたけど、そうではないんだな。これだけ「ホッとするもの」が生活のなかにみつかったんなら、やがて過食にもなんらかのいい結果がでてくるかもしれないな」。

外のことにも「ホッとするもの」を感じられだして

B4の紙に書いてある信子さんのホッとするものを追ってみた。けっこう読んだりイメージを浮かべたりするだけでも、こちらもホッとしたりするものだ。

  • 「冷蔵庫に食べ物がたくさん入っているのを見るとき」
  • 「チロちゃん(飼い犬)の背中をなでているとき」
  • 「お風呂につかって、バスロマンの香りをかぎながら手足を思いっきりのばしているとき」
  • 「金魚が藻のあいだをスーイスーイと泳いでるのをみているとき」
  • 「どこからともなくキンモクセイのにおいがしてきたとき」

まだほかにいろいろ書いてある。これまでと違うのは、家の中だけのことにかぎらず「キンモクセイ」といった外のことにも「ホッとするもの」が見つけられだしたことである。

それからまもなく信子から過食について次のような報告があった。「過食についやす時間が短くなってきました」「なんか4時間も食べ吐きにつかうのがもったいないなーって思って」といったうれしい報告である。これは過食症から立ち直れるきっかけの一つであり、治癒をみるまでにはいろいろ山あり谷ありだが、本格的な過食症の治療に入っていく土台ができた。

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福田 俊一(所長、精神科医)
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 息子にカウンセリングの話をしても行きたがらないと思うのですが、どうしたらよいでしょうか。

 カウンセリングは初めてで、どんな場所でどんな形でするのか不安です。


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