4.「同期で一番早く係長に昇進できた、バンザーイ!」大喜びの気持ちを家族で祝ってもらって(真理 28才 過食症歴2年)|摂食障害 カウンセリング治療専門外来(過食症・拒食症)

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4.「同期で一番早く係長に昇進できた、バンザーイ!」大喜びの気持ちを家族で祝ってもらって(真理 28才 過食症歴2年)

真理さんは過食症になって二年になります。お母さんが気がついたのは、発症してから一年後でした。「娘が過食症で苦しんでいたのに、一年間も気がつかなかったなんて」と、お母さんはくやし涙を浮かべて話しました。

真理さんの過食嘔吐に気づいたお母さんの話し

「ご飯を食べおわるとすぐにトイレに行くので『胃の具合でも悪いのかしら、と思いました』。ある日娘がトイレを出た直後に入ってみたらへんな臭い・・・『あれ、これは吐いたあとの臭いじゃないかしら』って思って。それから気をつけて見ていると、便器の周りが汚れているし、どことなくしんどそうにしてるし。『やっぱり吐いてるんだわ。これっていま新聞なんかでときどき取りあげられている過食症じゃないかしら。いやきっとそうだ』と確信みたいな気になって。ショックでした。娘からこんなたいへんな病気にかかってるのにうちあけてももらえず。母親として何をしてやったらいいのかわからず悶々としていました。図書館で摂食障害の本を手あたりしだいに読んで、やっと事情がわかったようなしだいで」。

「このままほっておいてはいけない。本にはできるだけ早く専門家にかかって治す手だてをしないと長引くおそれがあると書いてあるし。しろうと判断での対応は、逆に良くないこともあると書いてあったので、あせりました。この本を出版した所でカウンセリングを受けてみよう」。お母さんはこう決心し淀屋橋心理療法センターに来所しました。

娘が母親に自分の過食症を打ち明けていないとき

お母さんは真理さんに内緒で来所しました。自分が娘の過食嘔吐に気付いているということを悟られないようにという配慮からです。細かに真理さんの様子を聞きながら、カウンセラーはアドバイスをしていきます。お母さんから「食べたら吐いてしまうようです。やせているのに『太ってる。もっとやせなきゃ』って言ってます。どうしたらいいでしょうか?」という質問がだされました。しかし真理さんはまだお母さんに自分の過食症を打ち明けてはいませんので、こちらが出すアドバイスを直接本人に伝えることができません。こういう場合は慎重さと工夫が必要です。

さらに話を聞いていくと真理さんは仕事を持っており、一日も休まず出勤しているということです。また昇進意欲もかなり強く、一生懸命仕事に取り組んでいるという話がだされました。こうした場合はあまり過食嘔吐に焦点をあてずに「娘さんの仕事ぶりを観察してきてください」というアドバイスが、効果をあげたことが何回かありました。同じアドバイスをもらったお母さんは「真理の過食嘔吐は心配だけど、今は仕事への取り組みをしっかりと観察することが大事だからがんばろう」と決心しました。こうしてお母さんとカウンセラーの二人三脚がスタートしました。

二週間後真理さんの仕事ぶりについて報告が出され・・

真理さんは過食嘔吐のことは母親にまだ打ち明けていませんが、仕事の話しに水を向けるとどんどん話すようになってきました。「あのねお母さん、今年二月から社内の異動があってね、私は部長のそばについて新しいプロジェクトの仕事をすることになったの。部下が5人もいるのよ」と話す真理さんの目は輝いています。「この仕事がどんどん発展していけば、今よりもっと楽しくなると思う。やりがいのある仕事だし」。話を聞いたお母さんは「もしかしたら楽しくてこのまま過食嘔吐はしぼんでいくかもしれない」と思いました。

この報告をうけたカウンセラーは「前回の焦点はずしの課題がよかったようだ。真理さんはお母さんの一喜一憂の視線が過食嘔吐からそれたことを察したのか、言動がのびのびしてきたぞ」と、まずは良い結果がでたことを喜びました。

真理さんが仕事で昇進し、家族の前でも喜びの感情が出せて

真理さんの仕事は順調に進んでいるようです。前回のカウンセリングから二月たったころのこと、真理さんは家に帰るなりお母さんに飛びつくように話しだしました。そばにはお父さんもお姉さんも晩御飯のテーブルを囲んでいる時でした。

「お母さん、私ね昇進したのよ。今日部長から知らせがあってね」と、飛びあがらんばかりに喜んでいます。今まで嬉しいこともつらいことも家族の前ではあまり出さなかった真理さんなのに、今は大喜びの感情を素直にだしています。お父さん、お母さん、お姉さんもびっくりしました。「まさかこの年で係長になれるとは思わなかった。同期のなかでも一番なのよ。めっちゃうれしーい!」と真理さん。「そう良かったね、おめでとう。よう頑張ってきたもんね」と、お母さんも嬉しそうです。「よーし、みんなで乾杯しよう。真理はやく用意しておいで」と、お父さんも乾杯の音頭をとってくれました。真理さんの目にはうれし涙がにじんでいました。

真理さんは過食嘔吐のことをお母さんに打ち明けた

その夜のことです。お風呂からあがって、真理さんがお母さんのところにやってきました。

真理:お母さん、話し聞いてくれる?私がやっていけるかなあ。部下が5人もいるんよ。

母親:責任かかってくるんかな。心配やね。

真理:それはぜったい。だって数字とか目標とか大きいからなあ、たいへんやと思うわ。部長もいままでみたいに大目にみてくれなくなるやろし。

母親:ああ、そんなふうに考えたらしんどくなるよな。

真理:あのね、お母さん、だまってることがあるんやけど聞いてくれる?

母親:ああ、なんでも聞いてあげるよ。言うてみ。

真理:私ね、ずーっとと前からなんやけど吐いてるんよ。食べたもん、トイレで。過食症っていうんや。

母親:過食症ねー、うん、お母さんねちょっと感づいてたわ。トイレ汚れてるときあったから。

真理:えー、お母さん知ってたの?怒らないの?「食べ物吐くなんて、もったいないことして」って。

母親:そんなことで怒ったりしないよ。それより真理の体が心配やった。

真理:係長になれたんはうれしいけど、ストレス増えるやろな。そしたらまた食べて太らないかな。

母親:太らへんか心配?

真理:うん、久しぶりに会った恵美がね、昇進したあとめちゃ太っててさあ。私もあんなにならないかめちゃ心配なんよ。

母親:そうか、ストレスでな。そしたらそんなことじっくり聞いてアドバイスくれる専門家の先生の所へ行ってみるか?お母さんね、いい所知ってるの。本でしらべといたんよ。

真理:えー、そんな所があるの?ストレスで食べ過ぎたり飲み過ぎたりして太るまえに、真理も行ってみようかな。太ったらいやなのよ。もう外にでるのもいやになる。仕事に穴あけたら大変やもんね。

この一週間後、真理さんは母親とともにカウンセリングを受けにやってきました。

「仕事は頑張りとリラックス、二つの車輪で走りましょう」

カウンセラーは真理さんの仕事への取り組み姿勢は、これまで母親からの話しで十分に理解していました。母親と二人三脚で走ってきたことが役にたつ日がやってきたのです。

「真理さんは仕事熱心でこの度昇進なさったとお母さんからお聞きしています。おめでとう。それでね仕事をうまくこなしながら長持ちさせる方法を一緒にさがしていきましょう。なにかストレス解消方法をもっていますか?」。しばらく考え込んでいた真理さんはちらっとお母さんのほうを見て「食べて吐くことくらいかな」と答えました。「そうですか、食べて吐くこと。それもいいですね」「え、いいんですか!?」「はい、いいです。それでストレスが解消できてるのならね。でもそれだけというのがちょっと問題です」

考えている真理さんのようすをみてカウンセラーはこう話しました。「これからここで真理さんのストレス解消方法の幅を広げ、いかに上手にリラックスするかというカウンセリングをやっていきましょう。仕事は『頑張ることとリラックス』、この両輪で走らないと長続きしないという傾向があります。まして真理さんのように昇進したときなんか、有能なだけによけい緊張してストレスが増すということも考えられます。まずはじめに真理さんのまわりにあるなかで、ホッとできる物をさがしましょうか」「はい、ホッとできる物ですか。えーっと・・」

こうして真理さんの「過食嘔吐だけが日々のストレス解消方法」だという心配な状態から、幅を広げていくカウンセリングがはじまりました。これから二月後には、「仲良しの先輩に会社のグチを聞いてもらっているとき」とか「予算内で好きな物をショッピングするとき」など具体的なストレス解消方法が加わってきました。カウンセリングの回数も五回目を迎えリラックスできる方法が増えるに連れて、だんだんと真理さんの過食嘔吐の回数が減ってきました。

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淀屋橋心理療法センター
福田 俊一(所長、精神科医)
増井 昌美(過食症専門セラピスト)

2012年5月30日

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