1.やりたい仕事見つかった。うれしいけど不安いっぱい。でもがんばりたい!(朋子 24才 過食症歴2年)|摂食障害 カウンセリング治療専門外来(過食症・拒食症)

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1.やりたい仕事見つかった。うれしいけど不安いっぱい。でもがんばりたい!(朋子 24才 過食症歴2年)

過食嘔吐でカウンセリングをうけて2年、ようやく苦しかった食べ物との戦いから脱出し始めた朋子さん。クライアントさんが元気になってくると、必ずといっていいほどやってくるのが「どこかで仕事したい。いつまでもお父さんお母さんに迷惑かけていられない」という気持ちです。朋子さんは以前から「ファッション関係の仕事につきたい」と言っていました。

望んでいた職種のお店に就職が決まった

心斎橋にあるブティックのお店に就職がきまり、朋子さんはうれしくてたまりませんでした。「私洋服に関してはちょっとしたセンスあるのよ、みんなにもほめられてきたの。だからきっとうまくいくと思うわ」と、お母さんに得意げに話していました。しかしいざ働くとなるといろんな事が不安になります。そこで就職する前に朋子さんの不安を取りあげながら、どんな点に注意したらいいかをカウンセリングで話し合いました。そのなかでいくつかを取りあげ、わかりやすい内容でまとめてみました。

Q1:【ストレスで食べたい衝動がおきたら?】

朋子さんの過食嘔吐は、ほぽ一週間に1~2度ほどになっていました。完全に治っていなくても、十分に社会生活に復帰することは可能です。それでも心配なのは「ストレスがかかってきたときに、ワッと食べたい衝動にかられたらどうしよう」ということです。

「過食は、人がそばにいるとなかなか食べられないものです。ましては職場で他の人たちがいる前では衝動は起こっても、じっさいの過食行動にはムリがあります。まずそれが良いブレーキになるでしょう」。朋子さんもこの点はコントロールができるようになっていました。しかしあまり頻繁にコントロールカだけに頼っていると疲れてしまいます。そこできついなーと思ったら「今日は家に帰ったら思いっきり過食嘔吐してもいいんだよ」と、自分で自分を慰めたり励ましたりしながらやりすごすようアドバイスしました。

頑張りすぎてプチッと切れてから過食すると、ワーッと衛動的な過食になり食べる量も時間も増えたりします。自分で許して過食嘔吐するということもやってみましょう。なんとなく先手がとれたような気持ちで罪悪感も少なく落ち着いて過食できることが多いようです。しかしこれはかなり過食のコントロールカがついた時期でないと難しいものがありますので、専門家のアドバイスを得ながら試してみましょう。

Q2:【歓迎会とかあって、みんなで飲んだり食べたりするのがしんどくて】

歓迎会は必ずあるでしょう。朋子さんも新入社員として歓迎される一人ですので、出ないというわけにはいきません。過食症の人が他の人たちと一緒に食べるのがしんどいのは、「食べだしたら止まらなくなるんじゃないか」「へんにがつがつ食べてると思われないか」「食べないでいると、『あらなんで食べないの?』って聞かれたり、『これおいしいよ、食べてみて』とすすめられたりしないか、心配で」など、他の人にはわからないしんどいことがいっぱいあるのです。家族とでも一緒に食べるのはしんどいのに、ましてや他人さんたちと…

「出ないわけにはいかないしね」と、朋子さんは頭をかかえていました。そんな彼女のようすをカウンセラーはしばらく黙って見つめていました。すると「私、しんどくなったらトイレに立ったりしてはぐらかします。携帯がなったとかで外に出たりしてなんとかなります。それくらいのコントロールカは、カウンセリングでつけていただいていますから」と、意外にも朋子さんの頼もしい発言がでてきました。

Q3:【完べき性の傾向があるので、頑張りすぎないよう気をつけて】

まだ仕事の仕分けもわからないうちに、頑張りすぎてダウンしてしまった人もいました。朋子さんもバイトしたときあれもこれもやりすぎて、朝起きられなくなり続かなかったという話しをしていました。

過食症の人は頑張りやさんで完べき性の傾向があリ100の力を出しきって走り続けているかと思ったら、バタンと倒れて動けなくなり0になってしまうということがよくあります。上司や先輩から「あなたの仕事はこれとこれです」と指示をもらって、自分のすることをはっきり把握してから動くようにしましょう。

摂食障害になる人はよく気がつく人が多く、いろんなことに気がついて自分がやらざるを得ない気になりしょいこんでしまうこともあります。「100か0かのパターン」にならないように、仕事に取り組みましょう。

Q4:【長時間人と一緒にいると疲れてしまいそう。もつかな?】

朋子さんはいままでのバイト先でも、長時間になるとしんどくなると話していました。職場の人と半日以上一緒にいると、気分が悪くなったりめまいがしたりするそうです。家ではお母さんにしっかりと文句も言いたいことも安心して言えるようになった朋子さんですが、外ではまだ気づかいからものが十分言えている状態ではありません。

言いたいことを抑えてしまい、人に合わせることが増えていないかふりかえってみましょう。また仕事の手順などまだ十分に理解できていないのに、笑顔でうなずいてしまったりしていませんか?回数が重なると、しんどくなってきたり気分が悪くなったりする人もいます。合わせるばかりでなく、自分が理解できないことは聞き直したりして十分わかってから仕事にとりかかることが大切です。先輩も「ああ、この人は一生懸命仕事に取り組もうとしてるんだな」と、思ってくれたりします。

Q5:【職場の人間関係、うまくいくかしら】

過食症の人は相手の気持ちをくみ取ることがとても上手です。私たちはセラピストは「気づかいの女王様」と呼ぶくらいです。仕事のスタートは覚えないといけないことが山のようにありますから、気づかいより仕事の段取りや中身をしっかりと覚えることに気を向けましょう。初めのうちは誰でも仕事にミスがあったりするものです。それより上司や先輩への「報告連絡相談」を忘れずにしましょう。

朋子さんの場合はわりと純粋で物事をまっすぐにとらえることが多いので、次のようなアドバイスをだしました。「社内で配属が決まったら、まず自分の領域をしっかりと見まわしてみましょう。与えられた仕事の優先順位はあるか。わからないときは誰に聞けばいいのか。自分の直属の上司はだれか。同僚はどんな人たちか。だれが一番力をもっているか。暗黙のルールはないだろうか、等です。それから落ち着いて自分の仕事にとりかかりましょう」

職場はとくに言いたいことを言える場とは限りません。言い方に注意しないと、人間関係をそこねてしまうこともあるでしょう。特にはじめのうちは、「はい、わかりました。やってみます」の姿勢でいくほうがスムーズです。自分に割り当てられた仕事を覚えることをまず優先させましょう。

Q6:【仕事に行ったらストレスで、過食嘔吐が悪くなりませんか?】

ストレスは仕事だけでなくどこにでもあるものです。「職場での人間関係などを通して、ストレスとの付き合い方がわかればいい」くらいの開き直った気持ちで取り組めると案外うまくいくものです。また自分なりのストレス解消方法をあらかじめ準備しておくといいでしょう。たとえば批判や文句を言いたいことがあったら、家に帰って母親に聞いてもらうとか、仕事とは関係のない友人と飲んでおしゃべりするとか、ストレスをためこまない工夫も大切です。

文句や批判を安全な場所や人に話しているうちに、やがて言いたいことがしっかり言えてる自分に気がつくということもあります。こうしたプロセスのなかで、ストレスから過食に走っていた回数もだいぶ減ってくるでしょう。過食嘔吐が一時的に悪くなることもあるでしょうが、しだいに力がついてきて改善に向かう人が多くいます。

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淀屋橋心理療法センター
福田 俊一(所長、精神科医)
増井 昌美(過食症専門セラピスト)

2012年3月19日

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 息子にカウンセリングの話をしても行きたがらないと思うのですが、どうしたらよいでしょうか。

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